東京・台東借地借家人組合1

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【Q&A】 借地権は建物の朽廃で消滅するか

2005年07月14日 | 契約・更新・特約

    建物の朽廃で借地権は消滅するので
      契約の更新を拒絶するといわれたが

 (問) 過去に2回借地の更新をしている。18年前に合意更新した借地契約の更新が迫っている。地主は建物が老朽化して朽廃状態なので契約の更新はしないから明渡しの準備をするよう言って来た。


 (答)  「借地借家法」 (1992年8月1日施行)には「朽廃」に関する規定は置かれなかった。そのため建物が朽廃しても借地権は消滅しない(同法3条)。朽廃は「滅失」の場合として処理され、借地権の消滅原因ではなくなった。

 しかし、「借地借家法」施行以前に設定された借地権に関しては、、「借地上の建物の朽廃に関する経過措置」(借地借家法附則5条)によって「借地法」の「朽廃」規定が適用され、法定の存続期間の満了前に建物が自然に老朽化して建物としての効用を喪失した状態になった時点で借地権は消滅する(借地法2条1項但書)。

 朽廃というのは、一般的にいう建物に生じた自然的腐蝕状態によって建物の社会的・経済的効用を失った場合をいう。火災・地震・台風・水害等外部からの力で倒壊した場合の「滅失」とは異なる概念である。改築するために建物を取壊す場合も滅失になる。建物が「滅失」しても勿論借地権は消滅しない。

 更新後に「朽廃」の規定が問題になるのは、借地権の存続期間が当事者の合意よるものではなく法律の定めによって確定したものの場合である。
 例えば、
 (1)継続使用による法定更新の場合(借地法6条1項)、
 (2)更新請求による更新の場合(同法4条1項)、
 (3)合意更新で期間を定めなかった場合(同法5条1項)、
 (4)期間を取決めたが法定期間(堅固建物は30年、その他の建物は20年)よりも短い期間を定めた場合
 以上(1)~(4)の法定存続期間中に建物が「朽廃」すると借地権は消滅する。

 しかし、「存続期間の約定のある借地権は、本条(借地法2条)1項により存続期間を法定された借地権とは違って、その存続中に借地上の建物が朽廃しても消滅しないのであり、約定の残存期間があれば、その間は存続する」(最高裁1962年7月19日判決、最高裁判所民事判例集10巻8号1566頁)。

 即ち、借地契約で鉄骨建物等の堅固建物の存続期間を30年以上、木造建物等の非堅固建物の場合は20年以上と定めた場合は、その期間満了前に建物が朽廃しても残存期間があれば、借地権は消滅しないということである。 

 借地法2条2項では、「契約で存続期間を定めた借地権は、2条1項の朽廃規定に拘らず、その期間の満了によって消滅する」と規定されている。

  法定存続期間以上の借地の存続期間を契約で定めている場合、相談者の借地契約は存続期間を20年と定めているので、借地上建物の朽廃があっても契約期間内であれば、借地権の消滅はありえない。従って、建物が朽廃しても再築は可能であり、地主は朽廃を理由に更新を拒絶することは出来ない。

 

東京・台東借地借家人組合

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