東京・台東借地借家人組合1

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【Q&A】 原状回復費用の負担は借主の義務なのか 

2005年07月16日 | 敷金・保証金・原状回復に関する判例等

 原状回復費用は借主が支払うものか
    それとも全く支払う必要はないのか

 (問) 4年間生活した部屋を綺麗に掃除して明け渡した。しかし、家主は敷金を返還しないどころか契約書の原状回復条項を楯にして、追加27万円を原状回復費用として請求してきた。この費用を総て借家人の負担で支払わなければならないのか。


 (答) 原状回復の規定は民法598条/616条を根拠にしている。借主は、賃借物に設置物を取り付けた場合はそれを取り除き、運び込んだ物は撤去する。民法では、原状回復義務は、賃借人の収去義務のことであって、「借りた当時のまっさらの状態へ戻す」という意味での賃借人に「原状回復義務」が課されている訳ではない。

 判例は「一般的に、建物賃貸借契約に原状回復条項があるからといって賃借人は建物賃借当時の状態に回復すべき義務はない。賃貸人は、賃借人が建物を通常の状態で使用した場合に時間の経過にともなって生じる自然の損耗、汚れによる損失は賃料として回収しているのであって賃借人に負担させるべきではなく、原状回復条項は賃借人が故意、過失によって又は通常でない使用をしたために建物の棄損等を発生させた場合の損害の回復について規定したものと解するのが相当である。」(東京簡判平成7年8月8日)。

 相談者は、賃貸借契約に基づいて建物を通常の使い方によって使用するとともに、善良な管理者の注意義務をもって賃借物件を保持、管理した。4年の使用中には多少の汚れ、損耗は認められるかもしれないが、いずれも時間の経過による自然汚損・損耗である。通常使用に従った使用に必然的に伴う自然汚損・損耗は原状回復義務の対象にならない。

 因って、「賃貸目的の返還にあたって自然の損耗や汚損についての改修の費用を負担して賃貸当初の原状に復する義務を負っているとは認められない。したがって、仮に賃貸人が賃貸当初の原状回復のためにこれらの費用を支出したとしても、それを賃借人に請求し、あるいはそれを敷金から差し引くことは許されない。」(京都地判平成7年10月5日)とあるように、退去時の原状回復費用を相談者が負担すべき理由ない。それを、賃借人である相談者に請求することは許されない。又、勝手に敷金から差し引くことも許されない。

 通常損耗を借主に負担させる原状回復特約に関して最高裁(平成17年12月16日判決)は、次のように判示している。即ち、「建物の賃貸借においては,賃借人が社会通念上通常の使用をした場合に生ずる賃借物件の劣化又は価値の減少を意味する通常損耗に係る投下資本の減価の回収は,通常,減価償却費や修繕費等の必要経費分を賃料の中に含ませてその支払を受けることにより行われている。そうすると,建物の 賃借人にその賃貸借において生ずる通常損耗についての原状回復義務を負わせるのは,賃借人に予期しない特別の負担を課すことになるから,賃借人に同義務が認められるためには,少なくとも,賃借人が補修費用を負担することになる通常損耗の範囲が賃貸借契約書の条項自体に具体的に明記されているか,仮に賃貸借契約書では明らかでない場合には,賃貸人が口頭により説明し,賃借人がその旨を明確に認識し,それを合意の内容としたものと認められるなど,その旨の特約(以下「通常損耗補修特約」という。)が明確に合意されていることが必要である

 ①補修費用(通常損耗)の借主負担分が契約書に具体的に明記されているか、または②口頭の説明で特約の補修費用負担の範囲を具体的・明確に認識し、その上で合意したことが明確であることが特約の成立条件である。これらの条件を満たしていない場合は、特約は無効とされ、借主の通常損耗の支払い義務がないことが確定した。

 

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