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造作買取請求権を使ってエアコンを
家主に買取らせることが出来るのか
(問) 次の引越先の部屋にはエアコンが完備されているので、1年前に取付けたエアコンが無駄になる。家主に買取ってもらえないものだろうか。エアコンを取付け時に家主の了解は得ている。
(答) 「借地借家法」33条1項は、建物の賃貸借が期間満了又は解約の申入れによって終了する時に、賃貸人の同意を得て附加した造作を時価で買取るよう請求することが出来ると定めている。これを造作買取請求権という。
条文では買取りを請求できる造作は、賃貸人の同意を得て附加したものであるとなっている。
(1)この同意は造作を附加する前でも後でも差支えない。また、同意はは明示でも黙示でも構わない。
(2)建物使用のために必要不可欠である造作は、契約締結の中に、すでに、その附加に対する同意が含まれている。
(3)それ以外の造作は賃貸人が造作の附加を知りながら、あえて異議を述べなかった場合は黙示の同意ないし事後承諾と認められる。
(1)~(3)は「新注釈民法(15)」760頁
造作とは水道・ガス・電気設備等である。これらは建物の使用収益のために存在する造作を建物から分離すると、その価値が減少するのが通例である。取外したのでは借家人の投下資本の充分な回収が出来ない。
そこで、造作買取請求権により、借家人が借家に改良を加えた場合、家主に対し、その造作の時価での買取りを請求出来るようにして、借家人の投下資本回収を図らせている。
改良を加えた結果が建物に吸収された時は、有益費償還請求権の規定(民法608条2項)により、投下資本を回収することが可能である。
「造作買取請求権の性質は形成権であるから、借家人が家主に買取りを請求するだけで、家主の承諾を要することなく、造作について売買契約が成立したと同一の法的効果を生ずる」(大審院1927(昭和2)年12月27日判決)。
このように、借家人の一方的な意思表示だけで家主に造作を買取らせる法律効果がある。だが、借家人の言い値で造作を買取らなければならない訳ではない。法律は、造作を「時価」で買取る旨を規定している。
判例では、時価をどう判断しているのか。
「特段の事情がない限り、1年数ヶ月前になされた造作工事費用の総額をもって、造作が現に有する価格であると解すべきである」(東京地裁1971(昭和46)年3月31日判決)。
また造作を附加して1年3ヶ月の造作に対して「造作を設置するために支払われた費用額を造作の時価とするのを相当とする」(東京高裁1956(昭和31)年3月22日判決)。
結論、相談者の場合、造作買取請求権を排除する特約を結んでいないので、エアコンの買取りを家主に請求出来る。その場合、取付けて1年しか経過していないので、判例にあるように、エアコンの設置に要した総額を時価として支払うよう要求出来る。
なお、旧「借家法」5条の買取請求権は強行規定であるから、特約で買取請求権を排除することができない。しかし、平成4年施行の「借地借家法」33条1項では任意規定化され、買取請求権を排除する特約は有効とされている。従って、「借地借家法」施行前の借家契約であっても、施行後に買取請求権を排除する特約を締結すれば、その特約は有効となる。
東京・台東借地借家人組合
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