東京・台東借地借家人組合1

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【Q&A】 離婚による借地権分与は無断譲渡になるのか 

2005年07月13日 | 承諾に関して

  離婚による財産分与や夫婦間の
    無断借地権譲渡は契約解除原因になるか


 (問) 夫と協議離婚することになりました。離婚の条件として夫名義の建物を分与されることになりましたが、地主との関係はどうなりますか。


 (答) 民法621条は賃借権の譲渡および転貸の制限をしている。「①賃借人は、賃貸人の承諾を得なければ、その賃借権を譲り渡し、または賃借物を転貸することができない。②賃借人が前項の規定に違反して第三者に賃借物の使用または収益をさせたときは、賃貸人は、契約の解除をすることができる。」(民法621条)。

 借地上の建物の所有名義を変更することは、借地人の変更を意味し、借地権の譲渡又は転貸があったことになる。借地人が借地権を第三者に譲渡する時は、地主の承諾を得ることが必要であり、それをせずに建物を財産分与して夫から妻への所有権移転登記をしたことが地主に露顕した場合、借地権の無断譲渡として借地契約の解除理由になる(民法612条)。

 しかし、賃貸人(地主)の承諾なく借地権が譲渡された場合でも、それが賃貸人に対する背信行為とならないときは、賃貸人は借地契約を解除した上で、建物収去土地明渡請求をすることが出来ない場合がある

 例えば、①夫が宅地を賃借し、妻はその借地上に建物を所有して同居生活をしていた事案。夫婦の離婚に伴い、夫が妻へ借地権を譲渡した場合、「貸主は同居生活及び妻の建物所有を知った上で夫に宅地を賃貸したものである等の事情があるときは、借地権の譲渡につき貸主の承諾が無くても貸主に対する背信行為とは認められない」(最高裁1969年4月24日判決)。特段の事情があるときは、借地契約の解除を認めていない。

 また、②借地人と共同して鮨屋を経営していた内縁の妻が夫の死亡後、その相続人から借地権の譲渡を受けたのに対して地主が無断譲渡を理由に借地契約を解除した事案。地主の承諾無く借地権が譲渡された場合でも、地主が借地人と内縁の妻が共同生活をしている事実を知っていったという事情がある時は、「賃貸人にたいする背信行為と認めるに足りない特段の事情があるときは、賃貸人は民法612条2項による賃貸借の解除をすることができない」(最高裁1964年6月30日判決)。

 夫婦間の借地権の譲渡や転貸、離婚による財産分与としての借地権の譲渡は、土地の使用収益の実権を持つ主体が変化するのであるから、本来的には貸主との関係では無断譲渡や無断転貸となり、契約の解除原因となる。

 しかし、契約締結時、借地人に配偶者、内縁関係にある者があり、それらの者も借地を使用することを知って地主が貸した場合、その後借地人から借地権が移転しても最高裁の判例は地主との信頼関係を破壊しないと認められる特段の事情がある時は、地主の契約解除及び土地明渡請求を認めていない

 

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