判例紹介
更新料支払の商慣習が存在しないとして上告人(地主)の更新料支払請求が棄却され、これにより更新に際して被上告人(借地人)は更新料の支払義務がないことが確定した。 (最高裁1976(昭和51)年)10月1日判決、判例時報835号63頁)
言渡 昭和51年10月1日
昭和51年(オ)第657号
判 決
上告人A
右訴訟代理人弁護士 小 林 宏 也
本 多 藤 男
長谷川 武 弘
被上告人B
主 文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
理 由
上告代理人小林宏也、同本多藤男、同長谷川武弘の上告理由第1点について
原審が適法に確定した事実関係によれば、被上告人の所論所為をもって、いまだ本件賃貸借契約の継続を不可能又は著しく困難ならしめるものとは認めるに足りないとした原審の判断は、正当として是認することができる。原判決に所論の違法はなく、論旨は採用することができない。
同第2点について
宅地賃貸借契約における賃貸期間の満了にあたり、賃貸人の請求があれば当然に賃貸人に対する賃借人の更新料支払義務が生ずる旨の商慣習ないし事実たる慣習が存在するものとは認めるに足りないとした原判決挙示の証拠関係に照らして、是認することができ、その過程に所論の違法はない。論旨は、ひっきょう、独自の見解を主張するものであって、採用することができない。
同第3点及び第4点について
記録及び原判決事実摘示に照らし、所論の点に関する原審の認定判断は、その過程に所論の違法はない。論旨は、採用することができない。
よって、民訴法401条、95条、89条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文の通り判断する。
裁判長裁判官 大塚 喜一郎
裁判官 岡原 昌 男
裁判官 吉田 豊
裁判官 本林 譲
裁判官 栗本 一 夫
昭和51年10月1日
最高裁判所第二小法廷
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