東京・台東借地借家人組合1

土地・建物を借りている賃借人の居住と営業の権利を守るために、自主的に組織された借地借家人のための組合です。

【Q&A】 「契約の更新」

2011年03月09日 | 契約・更新・特約

【問】 借家の契約期間が満了したので家主が出ていってくれと突然言ってきました。どうしたらいいでしょうか。


【答】 家主の言い分は、借家契約の更新を拒絶するから借家を明渡してくれということです。家主が借家契約の更新を拒絶する場合、次の要件を満たさなければ更新拒絶はできません。

 第1に、家主は借家期間が満了する1年前から6か月前までの間に借家人に対して更新を拒絶する旨の通知をしなければなりません。借家契約でこの通知の期間を短縮するという約束をしても家主ついては無効です(借地借家法26条1項、同法30条)。

 第2に、第1で述べた更新拒絶の通知をしても、借家人が借家期間満了後も依然として借家を使用している場合は、家主は借家人に遅滞なく異議を述べなければなりません(借地借家法26条2項)。

 第3に、家主に自分の方でどうしてもその借家を使用しなければならない等の正当事由が必要です(借地借家法28条)。この正当事由については【Q&A】 「正当事由とは何か」を参照して下さい。この正当事由は、更新拒絶の通知をした時から借家期間満了の時まで存在しなければなりません。

 家主の更新拒絶がこれら3つの要件満たさない場合には、借家契約は自動的に更新され、前の契約と同じ条件で契約をしたものとみなされます(更新が確定したものとして取扱われる)。これを法定更新といいます。ただし、借家期間については例外で更新後の借家契約は期間の定めのない契約になります(借地借家法26条)。

 ご質問の場合、借家の期間満了後に家主が突然出ていってくれといてきたというこのですから第1の要件を満たしておらず、借家契約は法定更新されています。家主の要求に応じる必要はありません。

 ただ、家主が法定更新後に明渡を求めた場合には、借家契約の解約の申入れと考えられます。なぜなら家主の明渡請求には解約申入れの意味もあるというのが判例(最高裁判所昭和36年11月7日判決)で、法定更新後の借家契約は前記のとおり期間の定めのない契約になり、期間の定めがない場合には家主はいつでも解約の申入れをすることができるからです。

 では、家主から解約の申入れがされると借家契約はどうなるのでしょうか。解約の申入れが次の要件を満たすと、借家契約は解約申入れの日から6か月後に終了することになります(借地借家法27条1項)。

 第1に、解約申入れから6か月経った後も借家人が依然として借家を使用している場合は、家主は借家人に遅滞なく異議を述べなければなりません(借地借家法27条2項)。

 第2に、更新拒絶の場合と同じように、家主に正当事由がなければなりません(借地借家法28条)。この正当事由は、解約申入れのときから6か月間存在しなければなりません。

 これら2つの要件を満たさない場合、借家契約は終了せずに続いていくことになります(借地借家法27条2項)。

 

東借連常任弁護団解説

Q&A あなたの借地借家法

(東京借地借家人組合連合会編)より 

 


借地借家法
建物賃貸借契約の更新等
第26条 建物の賃貸借について期間の定めがある場合において、当事者が期間の満了の1年前から6月前までの間に相手方に対して更新をしない旨の通知又は条件を変更しなければ更新をしない旨の通知をしなかったときは、従前の契約と同一の条件で契約を更新したものとみなす。ただし、その期間は、定めがないものとする。 

 前項の通知をした場合であっても、建物の賃貸借の期間が満了した後建物の賃借人が使用を継続する場合において、建物の賃貸人が遅滞なく異議を述べなかったときも、同項と同様とする。

 建物の転貸借がされている場合においては、建物の転借人がする建物の使用の継続を建物の賃借人がする建物の使用の継続とみなして、建物の賃借人と賃貸人との間について前項の規定を適用する。

 

解約による建物賃貸借の終了
第27条 建物の賃貸人が賃貸借の解約の申入れをした場合においては、建物の賃貸借は、解約の申入れの日から6月を経過することによって終了する。

2 前条第2項及び第3項の規定は、建物の賃貸借が解約の申入れによって終了した場合に準用する。  


建物賃貸借契約の更新拒絶等の要件
 第28条  建物の賃貸人による第26条第1項の通知又は建物の賃貸借の解約の申入れは、建物の賃貸人及び賃借人(転借人を含む。以下この条において同じ。)が建物の使用を必要とする事情のほか、建物の賃貸借に関する従前の経過、建物の利用状況及び建物の現況並びに建物の賃貸人が建物の明渡しの条件として又は建物の明渡しと引換えに建物の賃借人に対して財産上の給付をする旨の申出をした場合におけるその申出を考慮して、正当の事由があると認められる場合でなければ、することができない。

 

東京・台東借地借家人組合

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