At The Living Room Reloaded

忙しい毎日の中で少し足を止めてみる、そんな時間に聴きたい素晴らしい音楽の紹介です。

Let's Party / Tropical Flame

2014-05-06 | Hawaii
1993年にリリースされたコンテンポラリー・ハワイアン系CD。裏ジャケットのクレジットを見たところギタリスト2人とベーシスト、それからドラマー兼パーカッショニストの4人構成によるバンドのようですが、多くの曲で共同プロデューサーでもある鍵盤楽器奏者のPierre Grill(ピエール・グリル)なる人物が参加しているため、実態としては彼を加えて5人組といった方が正解。もっともリリース元がグループ名と同じTropical Flameで規格番号もTFCD-104となっているため、そもそもこのバンド自体が実態のない企画系ユニットなのかもしれません。収録曲はディスコ調のファンキーな曲~アイランドメロウなバラード~ラップ入りのジャワイアンとバラエティに富んでいますが、注目はM-5のYou Are My LoveとM-6のBeautiful Hawaii Kai。曲名でピンと来る人もいるかもしれませんが、なんとまさかのTender Leafカバーです。彼らのLPがフリーソウル・ムーヴメントの中で「発掘」されブームになったのは90年代中盤以降なので、タイミングとしてはこちらの方が数年早め。どのような経緯でカバーに至ったのかは分かりませんが、ブームになる前に注目していた人がいたということに驚きです。おまけにYou Are My Loveの方は原曲からガラリと雰囲気を変え、ジャジーなピアノが映えるアイランド・コンテンポラリーにリアレンジしており、かなり完成度高め。ジャケットのカラフルなデザインからはイメージしにくいですが、マッキー・フェアリーが一時脱退した後の中期以降カラパナが好きならおそらくグッとくるはずです。ちなみに本作、なぜか2曲のみがitunes等でダウンロード販売中。そのうちM-9のWaianaeはアイランドメロウな佳曲に仕上がっているため、そちらを聴いて気に入った方はアルバムを探してみるといいかもしれません。
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Pot Pourri / Society Of Seven

2014-05-06 | Hawaii
連休最終日。事前の天気予報ではもう少し晴れそうなことを言っていましたが、なんだかイマイチな天気ですね。本当はどこか散歩でも行こうかと思ったのですが、なんとなく気乗りせずおとなしく家でまったりしています。なんとなくBGMに選んだのがこの作品。以前ここでも2枚のLPを紹介しているハワイの長寿7人組バンド、Society Of Sevenによる1980年前後の作品です。リリース元がグループ名の頭文字を取ったSOS Audioというレーベルなので、おそらく自主盤だと思うのですが、その割には日本にもわりと入ってきているようで、ネット通販のレコード屋では在庫カタログで見ることが多い印象。もっとも単に売れてなくて在庫がはけてないだけかもしれませんが…。フリーソウルで紹介されたHow Has Your Life Been?や洗練された楽曲が収録されたFashionably Yoursと比べると幾分土着的でローカルなサウンドなので、AORリスナーからはその辺りが敬遠されているのかもしれませんね。ただアルバム中にはそこそこの佳曲も入っており、B-2のLei Aloha Lei Makamaeなどがその代表。ハワイ語で歌われてはいるものの、いわゆるメロウグルーヴ的なミディアムスロウなので、AOR好きでも比較的取っつきやすいナンバーかと思われます。また系統は違いますがA-2のLay It On The Lineもブリージンなファンクナンバーで、なかなかに良い感じ。ちなみにタイトルのPot Pourriとは音楽用語でメドレーという意味。B-4に収録された40's Medleyがタイトルの由来でしょう。いわゆるオールディーズ・ナンバーなのでコンテンポラリー感は全くありませんが、彼らはもともとステージバンドなので、こうした定番曲のメドレーをやっているのが本来の姿。日本ではコンテンポラリーな部分のみが注目されがちですが、たまにはこうした本来のバンドサウンドに触れてみるのも面白いかもしれません。
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Rio Sinal Verde / Junior

2014-05-05 | Brasil
ジュニオールのシングル盤をもう一枚。こちらは1981年にArteなるスモール・レーベルからリリースされた作品となります。ジャケット左肩にTema Musical Da Novela "Baila Comigo"と記載があるためA面のタイトル曲はミュージカル主題歌かと思われますが詳細は不明。もっともこのタイトル曲は翌年リリースされるアルバムに入っているものと同一なので、マニアとして気になるのはB面に収録されたRecadoの方です。こちらはアーバンメロウな三連ロック。ワルツのリズムで刻まれるビートとキーボードの伴奏が気持ちいいAOR風ナンバーで、ジャケットからイメージされる海辺の雰囲気とマッチした佳曲です。ちなみに両面とも彼の多くの楽曲と同じくGastão Lamounier(ガスタゥン・ラモウニエル)との共作でアレンジはリンコリン・オリヴェッチ。またクレジットには先日紹介したホブソン・ジョルジの名前も確認できます。あいにくブラジルのミュージシャンについては明るくないのですが、どうやらこのオリヴェッチやジョルジあたりを追いかけていけば良い音に出会えそうなので今後は少し気を配っていく予定。しばらく前までブラジル盤と言えば60年代のジャズサンバやカフェ系で使えそうなMPBあたりが主流でしたが、ここ数年はこの辺りのサンバソウルものも普通に見かけるようになったため、色々とチェックしてみるのも面白いかもしれませんね。なお、このジュニオール・メンデス氏、Discogsの情報によれば今年2月に亡くなったとのこと。昨年末に亡くなったドラマーの青山純さんといい、まだまだ若いと思っていた1980年代に活躍したミュージシャンの訃報を見ると否応なしに時の流れを感じさせられます。考えてみれば僕自身も若いつもりがいつの間にか30代に差し掛かったわけで、これからは健康にも気を付けて生活していかなければなどとしみじみ。何だか予期せず暗い話になってしまいましたが、作品自体の内容は良いので気になる方はチェックしてみてください。
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Junior / Same

2014-05-04 | Brasil
以前ここでも取り上げたCopacabana SadiaというLPがその筋で知られるブラジルのシンガー・ソングライター、Luiz Mendes Jr.(ルイズ・メンデス・ジュニオール)がJunior(ジュニオール)名義で1980年にリリースしたシングル盤。彼はこの前年にもノンジャケのシングル盤を1枚リリースしているため、おそらくこれは2ndシングルとなると思います。両面各1曲のみの収録ながら好内容で、おまけにいずれもアルバムには未収なため、もしかしたら探している方もいらっしゃるかもしれませんね。やや不穏なイントロで始まるA面のHaveráは夜感漂うアーバンメロウな三連ロックのスロウナンバー。しっとりした雰囲気のAOR風ロッカバラードながら、サビではストリングスやホーンが入ってしっかり盛り上がるため、わりと日本人好みの一曲かと思います。またB面のConte Comigoはグルーヴィーなミディアムテンポのライトファンク。2分半に満たない小品ながらアルバム収録のAgre Doceあたりに近い作風の好ナンバーで、適度にこみ上げるメロディー展開と歯切れ良いホーン隊による都会的なアレンジが癖になる一曲。フリーソウル好きならきっと気に入ることでしょう。ちなみにLPの方のジャケでは前髪が後退しているためオジさんっぽいルックスですが、こちらのジャケットではしっかり前髪もあり甘いマスクのイケメン風。このまま俳優としても売り出しても普通に通用しそうです。ジャケなしのシングル盤は何となく味気なく感じてしまって購入欲が涌きませんが、このくらいしっかりしたジャケットならシングルでも買ってもいいかなという気になります。ちなみにアルバムはRCAからリリースされていますが、本作のリリース元はCBS。もしもアルバムがそのうちCD化されたとしても、残念ながらボーナストラックとしての収録は期待出来そうにありません。気になる人は素直にオリジナル盤を探しましょう。
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Robson Jorge / Same

2014-05-02 | Brasil
Lincoln Olivetti(リンコリン・オリヴェッチ)とのコンビで82年にSom Livreからリリースした作品で知られる、ブラジルのキーボーディスト兼シンガーソングライター、Robson JorgeによるCBSからリリースされた1976年のソロ名義コンパクト盤。一昔前なら英語読みでロブソン・ジョージと呼ばれていたと思いますが、ここ10年くらいでブラジル人の人名は現地風にポルトガル語読みするのが主流になったため、ここはおそらくホブソン・ジョルジと呼ぶのが正解なのでしょう。さてこのホブソン、翌1977年には同じくCBSからLPもリリースされていますが、本作はそのLPとは曲被りなしで4曲が収録されています。内容としては年代的なところもありブラジリアン・ソウル一歩手前と言ったところ。いわゆるブラコンだったりAOR的な80年代特有のギラついた雰囲気はなく、自然体でいわゆるフリーソウル的なナンバーをやっています。A-2のTudo BemとB-1のPenso Em Dizer Que Te Amoは表裏で当時シングルも切られたようですが、現代的な観点からすると聴きどころはむしろ本作オンリーの収録となるその他2曲。A-1のViver Depoisはイントロ一発で名曲と分かるタイプのミディアム・チューン。心地よいコーラスとこみ上げ系メロディーが耳に残るピースフルな一曲です。またB-2のProcure Amarはストリングスとホーンのアレンジがどことなくモータウン作品を思わせる、高揚感に満ちたポジティヴ・ソウル。どちらもおそらく多くの人がイメージするフリーソウルの音に非常に近いので、元クラバーのR35世代なら絶対に好きなはずです。ちなみにややポップ路線は強くなるもののLPの方もなかなかの名盤。しっとりバラードで歌われるAmei vocêやエヴァーグリーンな煌めきを漂わせるUm Dia Qualquerなど聴きどころ多めなので、気になる方はこちらのコンパクト盤と合わせてチェックしてみると面白いかもしれません。
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Nesse Inverno / Tony Bizarro

2014-05-01 | Brasil
サンバソウル好きリスナーの間では比較的よく知られる、シンガーソングライターTony Bizarro(トニー・ビザーロ)による1977年のソロ1作目。以前テルサのコンピに収録されていたAgradeço Amorというドン・ベト風フリーソウル曲が気に入ったので、アルバムの方を購入してみました。件の曲はこの前年RGEからリリースされた4曲入りコンパクト盤収録で残念ながら本作には未収。しかしながら、こちらでも同時期のUSソウルを彷彿とさせる粋な楽曲アレンジは健在で、その手のファンなら好きそうな曲が多数収録されています。全体的にAORというよりもう少しストレートにスティービーの影響を受けているようで、まるで70年代三部作のような曲もちらほら。もろニューソウルと言った雰囲気で聴かせる壮大なA-2のタイトル曲、それから跳ねるリズムとストリングス、そしてフルートがファンキーなB-3のNão Vejo A Horaあたりはレアグルーヴ好きなら自然と食指が伸びるはずです。個人的に好みなのはラストB-5に収録されたComo Está Não Faz Sentido。2分に満たない短い楽曲ながら、アルバム中で最もフリーソウル度が高く洗練されたアレンジとメロディーが気持ちいい一曲です。全体的にストリングス主体な楽曲ながら要所で入るエレピの音色がアクセントになっており、エレピ好きの僕としては満足度高め。ちなみにLPはそれなりの値段が付いていますが、10年くらい前にCharles Gavin(シャルレス・ガヴィン)の手によりリイシューCDが出ており、国によってはitunesにもアップされている模様。権利関係の問題からか残念ながら日本と米国のitunesにはありませんが、少なくともUKとカナダでダウンロード販売されていることは確認しました。いわゆるAORのみを聴くリスナーには向かない作品と思いますが、広い意味でのレアグルーヴが好きならきっと気に入るはず。特にスティービー・ワンダー好きは聴いてみると面白いかもしれません。
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