前二作に比べ、いまいち取り上げられることが少ないノヘことNohelani Cypriano(ノヘラニ・シプリアーノ)による3rdアルバム。Kokonut Recordsなるほとんど自主盤に近いスモールレーベルからリリースされており、発売時期自体もレコード⇒CD移行期の1987年と微妙なため、三枚ある彼女のLP作品の中では最もプレス数が少ないと思われる一枚です。おまけに内容的にも前作In The Eveningからさらにもう一歩トラディショナル・ハワイアンに踏み込んだものとなっており、いわゆるAORな音を期待するとやや肩透かしを食らう作品なので、その手の専門店が商品を仕入れること自体も少なく、その結果として彼女自身のネームバリューとは裏腹に市場ではそこそこのレア盤と化している模様。もっとも前述した通りAOR色は薄いので、このブログを普段見ているような方が無理してオリジナルを手に入れる必要があるかと言われれば、それもまた微妙ですが…。ただ、いわゆるアーバンメロウな雰囲気こそないものの、内容的には非常に洗練されており、いわゆる土着的なトラディショナル・ハワイアンとは一線を画すこともまた事実。作品自体が新しいこともあり録音も非常にクリアとなっており、その点ではAOR嗜好の耳でも充分に鑑賞に耐えうる一枚。実際に僕自身、ここ最近かなりの頻度で本作をターンテーブルへ乗せています。このロハス風味な雰囲気が妙に心地よく、風呂上りなどにビールを飲みながらついついヘビーローテーション。単に自分が年を取っただけかもしれませんが、日々の仕事に疲れたカラダにはこのくらいの音が良く染みます。中でもとりわけお気に入りなのはB-3のタイトル曲。アルバム中でもっともコンテンポラリー度が高いアイランド・メロウなバラードです。ちなみに本作、最初に書いた通りオリジナルのLPはレアですが、10年ほど前にKahi DiscからCDリイシューされる以前にも日本でCD化されており、CDでの入手は比較的容易。AORのみしか聴かないという方には不向きでしょうが、癒しを求めているような方には良いかもしれません。
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