元おしどり夫婦、ボブ&ポーリンによる1981年のアルバム。よく知られるように演奏陣はお馴染みシーウィンドの面々なのですが、名義が異なる上にリリース元がCCM系レーベルのMyrrhからだったことから、かつては「シーウィンド幻の5作目」などという呼ばれ方をしていたこともありました。インターネット時代の今でこそ気軽に入手が可能ですが、どうやらリリース当時はあまり日本に入ってこなかったようで、一部マニアのみが密かに愛聴していたようです。内容的にはこの前年にリリースされた「海鳥」という邦題で知られるS/T作品と同系統のフュージョン~クロスオーヴァー系サウンド。AORと呼ぶには個人的に少し抵抗がありますが、全体的にいわゆるリアルタイム派のリスナーが好みそうな作品になっています。ただ僕自身を含め、フリーソウル以降のAORリスナーの好む音かと言われれば正直少し微妙。これは本作に限らず彼らの作品全般に言えることなのですが、ポーリン自身の歌声は抜群なのにもかかわらず、いわゆるフリーソウル特有の「気持ちいい」成分が薄く、イマドキのリスナーが求めるサウンドとしての直球ストレートにはなりにくいというのが本音です。ただ、そんな彼らの作品の中では本作が一番僕ら向け。特に若干ブラジリアンな雰囲気を漂わせたA-2のWith Love In Your Eyesとサビでの三連ビートが気持ちいいA-3のJoyful Melodyがなかなかのクォリティで佳曲で個人的には好感度高めです。CCMでもAORでもなくコンテンポラリー・ハワイアンの一環として聴くのが今の気分。普段ここで紹介しているような作品が好きな方なら、LemuriaやAuraあたりの延長で自然に耳に馴染むはずなので、シーウィンド自体を敬遠されていた方も是非一度再チャレンジして頂きたいと思います。ちなみにCool SoundからCDでもリイシューされているため、アナログを聴ける環境にない方もご安心。Amazonではなぜか異常に高騰していますが、街の中古屋で見つけることが出来れば安価で購入可能な一枚なので、気になる方は探してみてください。
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