サンバソウル好きリスナーの間では比較的よく知られる、シンガーソングライターTony Bizarro(トニー・ビザーロ)による1977年のソロ1作目。以前テルサのコンピに収録されていたAgradeço Amorというドン・ベト風フリーソウル曲が気に入ったので、アルバムの方を購入してみました。件の曲はこの前年RGEからリリースされた4曲入りコンパクト盤収録で残念ながら本作には未収。しかしながら、こちらでも同時期のUSソウルを彷彿とさせる粋な楽曲アレンジは健在で、その手のファンなら好きそうな曲が多数収録されています。全体的にAORというよりもう少しストレートにスティービーの影響を受けているようで、まるで70年代三部作のような曲もちらほら。もろニューソウルと言った雰囲気で聴かせる壮大なA-2のタイトル曲、それから跳ねるリズムとストリングス、そしてフルートがファンキーなB-3のNão Vejo A Horaあたりはレアグルーヴ好きなら自然と食指が伸びるはずです。個人的に好みなのはラストB-5に収録されたComo Está Não Faz Sentido。2分に満たない短い楽曲ながら、アルバム中で最もフリーソウル度が高く洗練されたアレンジとメロディーが気持ちいい一曲です。全体的にストリングス主体な楽曲ながら要所で入るエレピの音色がアクセントになっており、エレピ好きの僕としては満足度高め。ちなみにLPはそれなりの値段が付いていますが、10年くらい前にCharles Gavin(シャルレス・ガヴィン)の手によりリイシューCDが出ており、国によってはitunesにもアップされている模様。権利関係の問題からか残念ながら日本と米国のitunesにはありませんが、少なくともUKとカナダでダウンロード販売されていることは確認しました。いわゆるAORのみを聴くリスナーには向かない作品と思いますが、広い意味でのレアグルーヴが好きならきっと気に入るはず。特にスティービー・ワンダー好きは聴いてみると面白いかもしれません。
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