ブルックリン生まれの白人シンガーソングライター、Robbie Dupree(ロビー・デュプリー)による1980年のヒット作。その筋では有名な黒白混合バンド「クラッキン」出身のRick Chudacoff(リック・チュダーコフ)とPeter Bunetta(ピーター・ブネッタ)によるプロデュース作として、リアルタイム派のAORファンには広く知られる一枚です。何でもA-1のSteel Awayが全米シングル・チャート6位となり、当時の日本でも大いにヘビープレイされたとのこと。あいにく世代が違うため当時の様子は知る由もありませんが、実際聴いてみるとこれが実はもの凄く今のリスナー向きの作品で、何年か前に初めて聴いたときは驚いたものです。この手のリアルタイムでヒットしたAOR作品というものは往々にして、今の感性で聴くと多かれ少なかれ古臭さを感じてしまうものですが、本作に関してはそうした杞憂は一切不要。ヴォーカル・演奏・アレンジどれをとっても今風で、フリーソウル~ライトメロウの流れで聴くにあたり全く違和感を感じさせません。収録曲はどれも現代的観点でのブルーアイドソウルとして理想的なものになっていますが、中でもとりわけ素晴らしいのがB-1のNobody Else。少しディスコがかったライトメロウなミディアムアップで、フリーソウルファン直撃の完璧なキラー・ナンバーです。たとえばフルムーンのI Need Your Loveやコーク・エスコヴェドのI Wouldn't Change A Thing、それから数年前に発掘され大いに話題となったエートレインのBaby Please辺りの洗練されたグルーヴィーな楽曲が好きな方ならまず間違いなくハマることでしょう。大ヒットの功罪によりLPは未だに町のレコ屋で二束三文で売られていますが、完成度は下手なレア高額盤より遥かに上。どこででも簡単に手に入る一枚なので、もしもまだ聴いたことないという方がいるならば今すぐの購入をお勧めします。
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