一昔前のリリース・ラッシュがまるで嘘のように、このところすっかり身を潜めている伊Schemaレーベルから届けられた新作。ロ・グレコ兄弟の双頭リーダー・コンボによるSchemaリリース3作目です。前回のSnap Countとはややメンバーが変更されているものの、編成自体は同じくフロント2管のクインテット。相変わらず正当派なネオ・バップ的作風で、全体的に好感の持てる一枚ですね。曲ごとの解説に入っていくと、まず最初に耳を惹くのがM-4のUpdated Sound。スマートかつクラビーな高速アフロ・キューバン・チューンで、ジャズDJの方々にも好まれると思われる素敵な一曲です。若干長尺気味ではありますが、彼らの楽曲の中でも一際クラブ映えしそうなナンバーなので、おそらくこれから先しばらくはクラブやカフェで引っ張りだこになることでしょう。ニコラ・コンテの2nd以降、急速に生音ジャズ路線にシフトして人気を博したSchemaですが、もしかしたらこの曲がOther Directionsの雰囲気に一番近いかもしれません。高速でありながらも演奏自体は丁寧で、アグレッシヴになり過ぎてない辺りがポイントなのでしょうね。また曲調がガラリと変わりますがM-7のFlowing Linesもなかなか。少しスピリチュアルな感も漂うモーダルな変拍子ジャズで、先の曲とタイプは違えどこちらもヨーロピアン・ニュー・ジャズ直系の好ナンバーです。美しいテーマ部はもちろんですが、一曲を通して若干リズムがボサ打ち風なところが非常に僕好み。なお、個人的にはこの2曲がベストかと思いますが、他にもM-4と同じく高速アフロ・キューバンなM-8のIdolsや、ワルツ・タイムから4ビートへの転調も鮮やかなM-6のOver Powerなど、アルバム全体的にわりと良い雰囲気です。少なくとも僕は同時期にリリースされたLTCの新作よりこちらに惹かれました。ただ、同じイタリアの若手ミュージシャン同士、比較しながら聴いてみるのも、それはそれでまた面白いかもしれません。二枚を聴き比べてみると、おそらくリリース元であるRicky-TickとSchemaの似て非なる各レーベル・カラーも見え隠れしてくるはず。そう言った意味でも興味深い一枚ではあります。もちろん難しいことは知らないというライト・ファンの皆様にもオススメ。おそらく今度もCDのみですが、アナログ派の方も是非聴いてみてください。
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