イリノイのスモール・レーベル、Le Bruよりリリースされたローカル系AOR~BES。英語風にケイパーと読めばいいのかヨーロッパ風にカペルと読めばいいのか分かりませんが、彼らはGreg Brucker(グレッグ・ブルッカー)とSteve Leonard(スティーヴ・レオナルド)なる二人のマルチプレーヤーからなるデュオで、おそらくこれが唯一の作品かと思われます。製作年はおそらく70年代後半~80年代前半。同じデュオ作品と言うことで以前ここでも紹介したフレンチカナディアンのMinuitあたりに近い質感となっているので、そのあたりのファンは楽しめるかと思います。特筆すべきは作詞・作曲・編曲・演奏・プロデュースという曲作りに関わるほとんど全ての作業をこの二人だけで行っていること。ギター2本の弾き語りというような類の作品ではなく打ち込んでいる感じでもないので、当然多重録音ということになるのでしょうが、完成された曲を聴くとそのような雰囲気は全く感じられず、普通にバンドサウンドなので初めてクレジットを見たときは驚かされました。もちろんローカル作品ならではのいなたさはあるものの、決してチープな質感ではなく充分に鑑賞に耐えうるもの。全体の雰囲気やヴォーカル・ワークもいい感じなので、もしもフリーソウルの頃に発見されていたら、それなりの人気盤になっていたかもしれません。現代的な価値観での注目曲はA-3のJuneとB-2のI'll Never Let You Go。前者は弾けるような瑞々しいライトメロウ系ミディアム、後者はコンテンポラリー・ハワイアンに通じるオーシャン・ブリーズなバラードとなっており、その手のファンならまず間違いなく琴線に触れることでしょう。そのままサバービアに乗っていても違和感ないジャケットもまた良い感じ。自主盤に近いと思うのでUS盤と言えど入手にはそれなりに手間取るかもしれませんが、気になる人は是非探してみてください。
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