深紅のジャケットが美しいジンボ・トリオの66年作。何度か見かけたオリジナルはどれも盤質が悪く、なんとなく購入を控えていたのですが、先日ようやく世界初CD化されましたね。さてさて早速中身の話。まず、帯には「ボサノヴァ黄金時代のジャズ=ジャズ・サンバの代表的ピアノ・トリオ、ジンボ・トリオの最高の1枚がこれ!」などと書かれていますが、個人的にはコレ、どちらかと言えばジャズ・サンバよりもジャズ・ボサの範疇に含まれるのではないかと思います。この辺りの言葉って使う人によって意味が変わってくるので微妙ではありますが、僕の場合だとジャズ・サンバと言うとハードバップ度高めのサウンドを連想してしまうので、そういうのとはちょっと感じが違うかな、と。何と言うか全体的にもっと洗練されたオシャレな雰囲気。ブラジルと言うよりもヨーロッパ、それもドイツ辺りのピアノ・トリオに近い硬質なサウンドが印象的です。イントロ一瞬で優しさに包まれるM-1のKaô, Xangôや、クラシカルなピアノとアフロなビートの好対照が面白いM-2のBocoxeなど、ボサノバ好きはもちろんのこと澤野工房辺りのファンにも気に入って貰えそうな美しい曲がずらり。特にアップ・テンポで演奏されるM-6のSamba Do Veloso(Tempo de Amor)は、間違いなく全編通してのハイライトでしょう。そのあまりに洗練された気高い演奏に、誰もが虜になること請け合いです。またサバービア世代ならば、幻想的なピアノ・ソロで始まるM-10のTristezaもきっと好きなはず。元の曲が良いので、誰がやってもそこそこの内容にはなりますが、数あるカバーの中でもこの演奏はかなりレベルが高い方なのではないでしょうか。ちなみに個人的に気に入っているのはM-7のP'ra Machucar Meu Caração。決して派手な曲ではないものの、アルバム中でも一際センチメンタルかつジャジーな名演で、聴いていて夢見心地にさせてくれる素敵な曲です。今の季節のBGMにも良く似合うのでは。全体的にクラブと言うより部屋聴き用の一枚。まさにAt The Living Roomな雰囲気ですね。なお、静かな曲が多くノイズが入ると成立しないので、盤質の悪いオリジナルよりもCDでの購入をオススメします。
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CDでは、アミルトン・ゴドイによるピアノソロ・アルバムがClamから出ていました。ジャズピアノ派必聴のすばらしい作品です。