(前回からの続き)
金の復権とはドルの失権であり、前述のとおり、そのドルの発行体である米FRBに代表される各国中銀の失権でもあるということだと考えています。これは、中央銀行が発行する通貨の信認が低下し、これにかわって金(ゴールド)が通貨・・・にいっそう近いモノとして、具体的には決済手段とか富の保存手段などとして機能するようになることを意味します。ビットコインのような仮想通貨の価値上昇も本質的には同じ現象―――中銀券の信認低下―――がもたらしている、といえるでしょう。
金人気やビットコイン人気―――裏を返すとそれは・・・誰もがいま、インフレを強く懸念していることの表れです。まあそれは当たり前で、FRB,ECB(欧州中央銀行)、BOE(イングランド銀行)などといった各国中銀は実質マイナス金利政策(=名目金利-予想インフレ率<0)を展開して、「通貨の番人」≒「インフレファイター」であるべき自身の存在意義を自ら破壊しているわけですから。もっともそうしなければ―――「自国」民の生活レベルを著しく劣化させることが分かっていてもインフレに頼らなければ―――かの国々は自分たちが「外国」に対して背負う巨大過ぎる債務を軽減させることはできないわけで・・・
いまの世界で、インフレなき経済成長の達成が可能なのは日本だけだし、したがって日銀が巨額の金準備を持つ必要もありません(って、あるに越したことはありませんが・・・)。このあたりこそ他国に対する最強アドバンテージ。あとはシンプルにそれに気づくだけでいい・・・んだけど、これが難しいんだな、ホントに・・・
(「金の復権、ドルの失権、そして円は・・・」おわり)
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