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【誰もギリシャに「金を手放せ」と言わない・・・】ギリシャが教える金(ゴールド)の大切さ③

2015-03-03 00:01:07 | 金(ゴールド)

(前回からの続き)

 次に国家からみた(ゴールド)のありがたさについて。

 World Gold Council等のデータによると、ギリシャは2010年前後のソブリン危機の表面化以降、「トロイカ」(EU,ECB,IMFの3国際機関)から巨額の公的融資を受けてきたにもかかわらず、手持ちの金準備を減らしている様子はありません。それどころか同国の金準備は2012年1月の111.69トンから2014年第3四半期時点の112.31トンと、わずか(0.62トン)ではあるものの増えています。

 常識的に考えると、外国に対する債務を背負った国は、借金返済のキャッシュを少しでも捻出するために国家資産を売却するはずだし、またそうするべきでしょう。それらのうち換金性の高い金は真っ先に売られてもいいはずです。実際、1990年代末のアジア通貨危機でIMFの支援を受け入れた韓国はそうしたし・・・。

 ところが上記のようにギリシャはいまだに金を手放していません。そのあたり、こちらの記事で書いたとおりギリシャ以外のPIIGS諸国も同様です。さらにキプロスも・・・2013年4月、銀行危機に陥った同国は金準備4億ユーロ相当分(当時の価格で13.9トンのうちの10.36トン程度)をトロイカ救済策の見返りに売却すると報じられましたが、結局売らずじまいの模様・・・。この報道の直後は、欧州の他の重債務国も金準備の売却を迫られるのではないかとの観測がマーケットに流れ、金の価格が急落したようですが・・・。

 で、金を売らない理由は―――ギリシャにしてもキプロスにしても、実際に金を持っているのは中央銀行であり、各中銀としては独立性を維持するために金をバランスシートに載せておくことが重要だから、いくら政府に頼まれても金を手放すわけにはいかないよ!といったことのようです。

 でも両国においては、政府が中銀に等価のユーロを出資して金を譲り受ければ中銀のバランスシートは毀損しないし、一方で政府はその金を売るなり、金を担保におカネを借りるなりして資金繰りの足しにするという手も使えそうですが・・・。さらにいえば、上位組織に当たるECBも、これら中銀が所有する金に着目してもよさそう。ECBならばこの金と引き換えに中銀を通じて大量の流動性を南欧の重債務国に供給することができるのに・・・(?)

 にもかかわらず、ギリシャもキプロスも中銀が抱える金準備を手放そうとしないし、両国もECBもこれらの売却とか担保としての活用等を進める気配がない・・・といった状況から推察すると、やはり各当事者は金の持つ価値に特別なものを感じているのではないか、と思うわけです。つまり、歴史的にみて欧州では金こそが真の「Sovereign」(国家の信認を示す最高位の価値[「英国1ポンド金貨」の意味あり])という共通認識があって、債務者は絶対に他者に渡せないし、債権者はそれが痛いほど分かっているから、そうやすやすと「金を差し出せ!」なんて薄情な(?)ことは言い出せない、といったようなこと。

 それだけ金は大切なのだ、とくにいまのギリシャにおいては―――そう考えています(もっとも水面下ではいろいろな駆け引きがありそうですが・・・)。

(続く)

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