【光合成型藻類の栽培】による「バイオジェット燃料生産」について、どの様に評価するのが良いか、意見が分かれるところである。
筆者は、日本に技術導入をして工場建設して生産を開始しても、同様の技術を日照率の良い外国(オーストラリアなど)での生産には、負けると判断した。
量産コストがどうしても、割高になるのは、目に見えているからである。
例えば、「バイオジェット燃料」のオーストラリアでの量産価格が[80円/L]で実現したと想定してみよう。
その場合に同様の技術を日本に工場設置して量産すると、[80円/L]×1.4≒[112円/L]が、日本での量産価格になる。
その時期にジェット燃料価格が、[100円/L]であるとして話を進めると、オーストラリアで航空会社に「バイオジェット燃料」を販売すれば、利益が出る。
しかし、同じ技術で【日本で生産したバイオジェット燃料】は[112円/L]になってしまうので、赤字になってしまう。
太陽光の日照率の差異が1.1倍程度であるならば、[88円/L]程度に収まるので、採算性は成り立つのだが、それは無理な話である。
現実には、オーストラリアと日本の日照率の差異は、1.4倍も違いが自然の気候条件であり、企業努力や技術進歩で縮小することは不可能なのである。
日本で生産しても利益が出る量産価格は、[100円/L]以下が必須で、企業努力で引き下げができた場合には、同じ手法と技術で、オーストラリア生産品は、[72円/L]まで、引き下げられる。
同じ努力を投入し、同じ投資をするならば、日本よりも有利な地域に計画するのが、グローバル化した世界の潮流である。
市場競争を前提として「投下資本利益率」を重視する世界では、「バイオジェット燃料の量産」では、【光合成型藻類の栽培】の方法は、日本では成功しない。
いや、それでも日本では、「バイオジェット燃料の国産化」が、長期の国策として必要になっている、との意見が強くなって行くであろう。
その答えは、このブログで説明してきた様に、『従属栄養型藻類の増殖』事業の技術開発で、バイオジェット燃料の量産価格[100円/L]を達成することだ。
これには、海外での開発技術を導入する様な、安直な方法では実現しない。
国内産業として技術育成策を、計画的に実行しなければ実現できないのである。
その政策は、『バイオジェット燃料の固定価格買取り制度』の実現である。(続)