庵KM

技術屋OBの環境問題独り言

経済問題。交通問題。健康問題。そして、日本の国創り問題。快適社会問題。

消極的な取組に終始した航空業界の非合理な国産化。

2015-10-21 | バイオ燃料・バイオマス

将来とも、ジェット燃料を「石油由来の燃料」に依存したままでは、立ち行かなくなることは、航空会社も当然判っている。

現在は、ジェット燃料は精製された状態で、日本に輸入されているのが現状だ。これが、「バイオジェット燃料を混合した燃料」への切り替えを迫られても、海外から輸入すれば、今と同じで問題ではないと考えていた様だ。

この様な状況だから、経済産業省が国内企業にバイオ燃料の研究開発を要請して、補助金を用意しても、積極的に協力する企業はごくわずかである。

 

だが、2020年からは世界の航空会社では、「二酸化炭素の排出削減」の義務が生じるので、あらゆる努力を払って、「バイオジェット燃料」の実現を図っている。

その時になって、日本の航空会社が【海外のバイオジェット燃料の輸入】をしようとしても、日本に輸出する余裕はないと、断られる可能性が高い。

それで、今頃になって、慌てて国産化した「バイオジェット燃料の製造」を、駆け込み的に始めているわけである。

しかも、原料となる藻類から抽出される油は、ユーグレナ社の様に、アメリカで量産を始める状況にならざるを得ない。

 

結局のところ、原料はアメリカ産を輸入して、日本で「バイオジェット燃料」に精製する設備だけは、設置しておけば、日本が輸入出来ないことはない。

石油の輸入依存度を少しでも減少させる絶好の機会であるのに、藻類の培養設備や、油の抽出設備は海外に設置して、量産をするしか選択できない。

国産化の目標は、チグハグな政策の迷走によって、原料の油を輸入して「精製だけを国産化」する、非合理的な生産しか出来ない計画になってしまった。

原料になる藻類からの油を、早急に国産で可能にすることが急務である。

 

ところが、国内での藻類の培養を目指して研究開発している企業グループは、「光合成型藻類」の一種である「ボトリオコッカス」を採用している。

この藻類は、現在までに発見されている種類では、もっとも油脂の生成量が多いので、マスメヂィアにも取り上げられて、大きな話題になった。

しかし、日本の気象条件では、【藻類が必要とする太陽光が低いレベル】に留まり、オマケに曇天や雨天が多いので、培養事業は容易ではない。

その上に、開放型の培養池では他の微細植物も入り込み、培養を妨げてしまう。

それを防ぐために、培養池の水の酸性度を高くする必要があり経費がかかる。

それで、量産時のコスト予測は、大幅に目標を超えて難渋している様だ。(続)