バイオジェット燃料の研究開発を促進する政策として、「ジェット燃料に賦課金を課す」ことで財源を生みだし、『優遇した価格で買取る制度』を説明した。
現実的に成果物(バイオジェット燃料)が供給された段階で、成果を生んだ企業に、上乗せ金額が支払われるので、無駄使いになることが全くない。
今までの様に、研究開発を申請した企業に補助金を支給するのでは、成果が確実に生まれてくるかは、保証の限りではない。
現実は大半の研究補助金は、無駄な研究投資に使われて、失敗に終わっている。
成果物に対し、支援の上乗せをする方法は、「再生可能電力の[FIT]制度」が、2012年7月から施行されて、読者もなじみがあり理解し易いであろう。
しかし未だに、成果に対する報酬制度が、効果的であるかを疑問視する専門家も多いので、別の【促進制度】の事例を紹介しておこう。
それは、期限を区切った『使用の義務付け制度』で、具体的には欧州委員会の決定によって、2020年から欧州に到着する航空機に課せられた制度である。
バイオジェット燃料を20%混合した燃料を使用することが義務とされ、それができない航空会社には、課徴金が課せられる。
要するに、「バイオジェット燃料の量産価格」が高い場合でも、2割の燃料はバイオ燃料を使用しなければならない規則である。
仮に、ジェット燃料の価格が100円/L.の場合に、「バイオジェット燃料価格」が【200円/L.】であったとしよう。
混合燃料の平均の燃料価格は、【120円/L.】になるので、ジェット機利用者は、その分の経費を負担することになる。
航空会社は、燃料費が上がると利用客が減るので、できるだけ安価に「バイオジェット燃料」を製造・供給できる企業を選定する努力を払う。
この要求にこたえられる企業は、シェアを伸ばして企業は成長する仕組みだ。
つまり、政府が強制的に使用量を増やす制度にすれば、何が何でも、早く安価な「バイオジェット燃料」を研究開発して、成功させるインセンティブが働く。
欧州委員会では、この効果を狙って「世界での先進的なバイオ燃料企業」を、育成する方針なのである。
しかし、欧州諸国に在籍している企業だけが、成功して勝ち残るわけではない。
アメリカ企業や、その他のバイオジェット燃料の量産に適した地域での、「新興企業が勝ち残る」可能性も大きい。
それでも、あえて脱石油を加速するのだ。(続)