庵KM

技術屋OBの環境問題独り言

経済問題。交通問題。健康問題。そして、日本の国創り問題。快適社会問題。

日本の政府と燃料供給石油企業は経済成長の機会を傍観。

2015-10-19 | バイオ燃料・バイオマス

石油燃料の代替となる「バイオ燃料の普及促進」は、地球環境保全に貢献するのは当然であるが、実は経済成長を促進する効果も期待できるのだ。

欧州委員会が、「バイオ燃料の技術開発を支援」する制度として、2020年からの「バイオジェット燃料の混合義務付け」を決定したのも、その意図がある。

現在の技術レベルでは、「バイオジェット燃料」の量産価格は、通常の石油由来の「ジェット燃料」に比較して、2倍くらいの価格である。

これが、多少は安価に出来る様になっても、割高な「ジェット燃料」を、利用しようとする航空会社はいない。

 

そこで、市場競争に依存しない促進政策として、「一定割合のバイオジェット燃料を強制的に利用する制度」を決定した。

すると、航空会社はできるだけ安価に「バイオジェット燃料」を調達する必要に迫られて、関係する燃料企業に、早期の開発を要請する。

燃料企業は取引先の航空会社の強い依頼では、他の案件に先駆けて、研究開発への投資と量産設備の新規投資計画を進めなければならない。

それを見ている『新規参入意欲のある企業』も、研究開発と設備投資の計画に着手して、既存の燃料企業を追い越す勢いで、投資を始める。

 

この様に、将来に明確な目標を掲げれば、民間企業の意欲を引き出すことで、経済活動の活性化が図れるのである。

ところが日本では、航空会社の【脱石油燃料】の長期方針は、まったく心もとない状況で、政府が支援をしない限り、研究投資すらしようともしない。

そのぬるま湯に浸りっぱなしの、燃料会社は【欧州のバイオ燃料義務付け】には、外国企業の「バイオジェット燃料」の供給を受けるつもりである。

買取り価格が高騰しても、なすすべがない状況に追い込まれてしまいそうだ。

 

せっかくの「経済活性化のチャンス」であるのに、欧州の動きを見ているだけの「長期政策のビジョン」すらない日本政府は、早くも諦めの様相である。

安倍政権は、電力の脱石油の動きは、原子力依存のママに、「再生可能電力の最大限の促進」を謳っている。

しかし、輸送用燃料の脱石油に関しては、代替技術の開発促進は、名目だけの予算付けで、研究開発の支援をしているつもりであるが、実績はゼロに等しい。

欧州の様に、目標年限を決めて「利用義務付け制度」を導入する検討もしていないで、ただ、従来どうりの【研究助成の補助金政策】に、終止している。(続)