庵KM

技術屋OBの環境問題独り言

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国内産のバイオジェット燃料の実現までの障壁。 

2015-10-20 | バイオ燃料・バイオマス

日本のバイオ燃料のベンチャー企業である「(株)ユーグレナ」は、石垣島で「ミドリムシの培養の事業」を進めてきた。

創業してから10年近くが経過しているが、本格的な量産体制への投資は、日本ではなく、アメリカ本土への計画で進めている。

さらに、ミドリムシから搾った油は、原油と同様に、航空機燃料の成分に精製することが必要になる。

日本国内には、航空機燃料向けに「バイオジェット燃料に精製」する設備が無いので、国内での生産には、『精製設備』を建設する必要があった。

 

航空機業界では、2020年からは「二酸化炭素[CO2]の排出量」に上限を設ける行動計画を策定している。

それをクリアーするためには、ジェット燃料の「植物由来にバイオジェット燃料」をある割合で混合させる対策が、必須であるとされている。

つまり、日本の飛来する航空機のジェット燃料は、混合燃料に切り替わるのであるが、日本から離陸する航空機の燃料は、日本の空港に「混合燃料と備蓄して給油」しなければならなくなる。

国内にも「バイオジェット燃料の精製工場」を建設する必要が生じている。

 

日本の航空会社では、全日空が中心となって「アメリカの石油大手シェブロン」から技術供与を受けて、2018年に稼働する『精製設備の建設』に着手する。

この技術は、アメリカでは航空機向けのバイオ燃料精製プラントとして、すでに商業化を目指して進んでいる計画に倣って、基本設計の供与を受ける。

つまり、アメリカ発の技術を日本に移転する構図で、日本独自の技術開発は断念している状況である。

原料となる「ミドリムシの増殖事業」は、日本発のベンチャー事業であるが、量産規模の事業はアメリカ大陸でなければ、事業採算性が見込めない状況だ。

 

この様に、日本の脱石油燃料の政策は、民間企業の努力はあるものの、国策的なジェット燃料自給化の動きは、まったく出来ないでいる。

それは、原料の生産を「光合成型藻類の培養」に頼る方式を、補助金の対象にしたからである。

(株)ユーグレナ社は、ミドリムシの培養には、石垣島の様に太陽光の日照率が有利な地域で、実証的な事業を始めて、「培養ノウハウを蓄積」してきた。

その結果は、量産設備はアメリカの日照率の良い地域に移転する選択だ。(続)