政府が脱石油燃料の開発促進を、10年以上も前から看板政策に掲げてきたが、なんにも成果を生み出せないで、迷走している原因は、推測ができるだろう。
それは【達成すべき目標を曖昧なまま】にして、各省庁の担当部門が、予算獲得の手段にしてしまっているからである。
中央の官僚たちは、認められた大義名分のある「政策課題」に、自分たちの権益が及ぶ方法で、予算を獲得するのが最優先の目標になっている。
その政策課題が求める「成果の目標」が、アイマイであるから、政策の中身の適否はあまり「真剣に検討」をしないで、見栄えの良い課題に補助金をつける。
こうして、バイオ燃料の政策的な研究支援は、自動車用の代替燃料(見栄えが良い)を政策課題に掲げた。
先行国でのエタノールの量産化(ブラジルで実績)が、もっとも実用化が近いとして、サトウキビの栽培が日本には適地もないのに、税金を投入した。
沖縄でのサトウキビの栽培による砂糖事業は、補助金なしでは成り立たない実情を無視して、【補助金をつければ研究開発は進む】だろう、との甘い想定だ。
原料をお米にしてみたり、木質材からエタノールと製造するなど、事業性のまったく見えない研究に、予算獲得の目標だけで、研究補助金を出し続けた。
中央官庁の官僚たちは、植物栽培や製造技術もしらず、事業採算性の想定も出来ないので、ただ、補助金を申請してくる事業者の資料を見るだけである。
申請資料の出来栄えが、補助金合格の条件とは言わないが、とにかく、失敗しても責任は補助金の申請者にあるから、【真剣に検討】はしないで済む。
そのうち、どこかの事業者が成果を出せば、自分たちの手柄として、予算獲得の増額の説明に使える、と期待だけは、している様だ。
技術開発や新規事業の開発は、官庁が考えるほど{容易な挑戦課題}ではない。
そこで、このブログで何度も説明した様に、補助金ではなく、『成果物を優遇した固定価格で買取り』する制度が、研究開発の促進に効果的なのである。
なぜ、補助金政策よりも効果的かは、すぐに理解ができるだろう。
目標の到達点{量産価格と供給量の義務}を、明確に提示して、この目標に向けて、研究開発した事業体から、優遇価格で買取る契約をする。
事業者を公募して、「上位の3~5社」と、研究開発の契約を結ぶのである。
「バイオジェット燃料事業」の場合は、市場のジェット燃料価格が100円/L.の場合に、200円/L.で10年間の買取り契約をする仕組みである。(続)