安倍内閣の今までの政策の主眼は、富裕層と大企業への恩恵を最大にして、経済活性化のけん引役にすることで、順番に大会社の従業員が潤うことになる。
そして、中堅企業の従業員に広まり、最終的には非正規社員の層にも、「給与アップの効果が広がる」との、トリクルダウン効果を期待していた。
しかし、3年にも近づくのに、超金融緩和の恩恵は、富裕層と大企業にだけの収入増加で、大企業社員でトントン程度である。
その他のすべての働く人へは、消費増税分すら、収入増加はない状況である。
アベノミクスの三本目の矢の「新成長戦略」による新産業の育成は、お祭り騒ぎのドサクサに紛れて、埋没して行く懸念が大きい。
新三本の矢を打ち出しても、「GDP600兆円」目標との号令だけで、○○会議が開かれているが、お役所の御膳だてはこれからである。
富裕層の恩恵が先に回る政策では、新産業は育成出来る道筋は開けない。
広い層の働く人達への普及が期待できる分野に、重点を置いた政策に、集中的に国の予算を配分すべきであろう。
実例をもとにして、効果的な政策の考え方を、説明してみよう。
自動車の分野での将来像を上げてみると、「水素エネルギー社会」への道は必要であるが、「水素自動車(燃料電池車)」の育成と普及は、不適切な政策である。
それは、富裕層への無用な補助金政策であり、水素ステーションの大幅な普及ができない段階では、広がりは期待できない。
それを補助金で進めると、不採算の水素ステーションのバラマキによって、各地での赤字補てんに無駄な税金が投入され、庶民の負担が増えるだけである。
それよりも電気自動車の普及の育成に力を注ぐ方が「適切な政策」になる。
現在の電気自動車の価格は、まだ少し高い段階であるが、電池の量産が拡大すれば、価格は一般庶民が購入できる価格帯になる。
さらに、用途を短距離用(100km以下)に割り切れば、搭載する電池の量を減らすことで、ガソリン車と同等以下にすることもできる。
現在の段階ですでに、急速充電器の設置は、全国で1万5千基以上にもなっているので、どこに出かけても、充電がすぐにできるので安心である。
自宅での充電では、電力が余剰になる時間帯での「割安の電気料金」によって充電ができるので、消費電力料金(燃費)は、ガソリン車よりも大幅に下がる。
こうすれば、再生可能電力の増設を進める効果もあり、恩恵は広がるのだ。(続)