日本でバイオ燃料を製造する仕組みとして、「大型海藻を原料」とする理由には、豊富な沿岸があることによる。
このブログで説明した様に、「光合成型藻類」を原料にするのは、陸地が限られていて、太陽光の日照率が低い地域では、不利な条件が重なっている。
日本での原料は、海洋で栽培が可能な大型海藻を選択するのが、もっとも賢いやり方である。
まず第一には、大型海藻は、全長が10m以上にも成長するので、太陽光を効率よく利用できる最大の海洋植物である。
さらに第二には、植物の栽培には、継続的な養分の補給が必須であるが、日本の近海には、養分を豊富に含んだ海流が巡ってくる。
その上に、日本の陸地で廃棄される「冨栄養の河川水」が継続的に流入して、大型海藻の成長を促進させる。
この環境下で、太陽光の日照率が低い悪条件は、ほとんど問題にはならない。
栽培地の広さは、複雑な沿岸形状によって、栽培に適した海洋面が日本の近海に豊富にあるので、困ることはない。
「バイオジェット燃料」の製造には、『従属栄養型藻類』の増殖事業が最適で、現在の実績では、「下水処理時に分離される養分をエサ」にしている。
このエサとなる養分を、食品関連の廃棄物から分離する方法を、実現する必要があるが、この方法では将来の大量生産では、賄いきれない。
そこで、今から着手しておく研究開発は、日本の沿岸で大量栽培が可能になる「大型海藻類」の生産効率を高める研究を進めるのが良い。
戦前は『日本は大型海藻(コンブ)類』の栽培技術では、最先端を進んでいた。
その技術を中国に移植して、今では、中国沿岸部では1000万トン以上の生産規模に成長している。
この様に日本の沿岸部での栽培を、各地で効率よくできる様にすれば、『従属栄養型藻類』の増殖用に必要なエサが足りなくなることはない。
現在は、広島大学の秋教授が、コンブから抽出される養分を「エサに加工する研究に成功」している。
原料となる昆布から30%のエサ養分を抽出できることを実証して、他の海藻類からの可能性も研究に着手している状況である。
この先は、本格的に大量生産に結び付く、技術開発に邁進する段階である。(続)