日本で将来の国の安全保障と安定した経済活動を目指すには、エネルギーの自給率を大幅に向上させて、不測の事態にも耐えられる体質にするのが目標だ。
それには今の段階で、温室効果ガス削減の機会を逃して、輸送用機器の燃料を国産化に取り組まなければ、いつの時点で取組ができると言えるのか。
2020年の航空機の燃料の[CO2排出]削減の行動が必要になり、本格的に『脱石油を目指した再生可能エネルギー』によるバイオ燃料産業の好機である。
航空機燃料から始めれば、自動車用燃料、船舶用の燃料の国産化につながる、バイオ燃料産業が促進される状況に発展するであろう。
その絶好の時期が始まっているのに、藻類の培養で油脂を生成、抽出する事業を海外生産に依存してしまっては、国の長期政策としては不都合に尽きる。
油脂を最終製品のバイオジェット燃料に精製する設備を、海外技術でも日本に設置して、最終工程を国内の生産に固執するのも、せめてもの救いである。
最終工程だけでも、日本国内で取組む仕組みを確保しておけば、当面は原料を海外からの輸入でつないでおいて、時期を見て国産化に移行ができる。
期待すべきは、「日本発の技術で、日本に適した藻類の油脂生産の産業化」であって、本格的に取り組む体制を早急に構築して行くべきであろう。
この「バイオジェット燃料の国産化」が端緒となって、原料となる油脂の生産が軌道に乗り始めれば、『軽油の国産化』が間違いなく実現する。
軽油はご承知のとうり、トラック輸送の燃料として大量に利用されている。
船舶用にも建設機械の燃料としても、利用範囲が広いので需要量は飛躍的に増大するから、国産化が進めば大きな産業が、国内に創出される。
年間での需要量は3000万KL以上で、軽油価格が100円/L.としても、3兆円規模の新産業となり、石油の輸入減少で貿易収支の大幅改善となる。
今がその入り口に立っていると認識しなければならない。
この10年間に「バイオ燃料の国産化」の可能性に全力を傾ける時期であることは、自明のことであるのに、政府も民間企業も様子見をしているばかりだ。
経済の長期的な自立と発展には、エネルギーの自給率向上が、大きく貢献できる要素である。
今までの日本は、耐久消費財の技術革新と事業の拡大で、経済成長の原動力としてきたが、これからは、その貢献度合いは、機体ができない。
エネルギーの自立の上に、高付加価値の分野に進むことができるのである。(続)