庵KM

技術屋OBの環境問題独り言

経済問題。交通問題。健康問題。そして、日本の国創り問題。快適社会問題。

国創りの目標としてのGDP追求は問題を混迷させる。

2015-10-26 | 国創り政治問題

安倍内閣の新三本の矢では、少子化対策を本格的に取組む姿勢として、「希望出生率1.8」を打ち出したのは、国民も期待する目標である。

【介護離職ゼロ】の目標は、いささかマトハズレの表現だが、高齢化社会に向かってますます重要になる介護問題に、真剣に取組む意思表明と受け取れる。

最も問題とすべきは、【GDP600兆円】の大風呂敷である。

GDPの追求ばかりでは、経済の根幹と先進国社会の矛盾した社会問題は、悪化することが見えているのに、相も変わらずGDP信奉では情けない。

 

今年の前半に、社会的に大きな課題となったのは、フランスの新進経済学者「トマ・ピケティ氏の21世紀の資本」であった。

主張の最重点は、[経済成長率(g)<資本収益率]の原理により、【単純な経済成長政策では富裕層がますます豊か】になっていく、と指摘したことである。

つまり、【資本収益率】とは、おカネが生みだす利益率であり、モノ作りやサービス産業が生みだす「経済成長率」よりも、常に優位になっている。

【お金持ちはますます豊か】になり、働く人にはソコソコの利益配分か、マイナス配分になる、という経済の本質を指摘したことが、大きな話題になった。

 

その指摘に対して、安倍政権は応えることも出来ずに、ただ、日本の場合は【格差の拡大】は、アメリカや欧州よりも少ない、と逃げてしまっていた。

半年後の今になって、格差拡大の問題には全く触れずに、ただ、経済成長率の指標である「GDPの数値目標」だけは、国創りの基本目標に据えている。

半年間の間に少しは勉強したのかと思ったら、何も考えていないで、ただ従来どうりの経済成長目標の数字を、過大に楽観視して、「GDPさえ大幅に増加すれば、格差拡大などは問題ではない」、と言いたい様である。

その割には、少子化対策や介護問題を重点化するのは、基本的な姿勢がバラバラの混乱したままを、連想させる。

 

国創りの安定のためには、エネルギー自給率の低い状況を最重視する課題に取り上げて、今後の20年間に自給率を引き上げる目標にするべきである。

そのためには、脱石油の政策を重点化して、「再生可能で国産化可能な燃料」を、産業化する政策目標を立てる。

その新産業によって、「GDPの増加が促進される」のであるから、その成果を積み上げることで、日本の将来像の健全性が具体化されるのである。

総花的な「GDP指標の数値目標」は、重要課題の選択を誤る元凶になる。(続)


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