庵KM

技術屋OBの環境問題独り言

経済問題。交通問題。健康問題。そして、日本の国創り問題。快適社会問題。

上層部の1割だけが恩恵を受けるより9割の人に恩恵を。

2015-10-29 | 経済問題

安倍内閣の今までの政策の主眼は、富裕層と大企業への恩恵を最大にして、経済活性化のけん引役にすることで、順番に大会社の従業員が潤うことになる。

そして、中堅企業の従業員に広まり、最終的には非正規社員の層にも、「給与アップの効果が広がる」との、トリクルダウン効果を期待していた。

しかし、3年にも近づくのに、超金融緩和の恩恵は、富裕層と大企業にだけの収入増加で、大企業社員でトントン程度である。

その他のすべての働く人へは、消費増税分すら、収入増加はない状況である。

 

アベノミクスの三本目の矢の「新成長戦略」による新産業の育成は、お祭り騒ぎのドサクサに紛れて、埋没して行く懸念が大きい。

新三本の矢を打ち出しても、「GDP600兆円」目標との号令だけで、○○会議が開かれているが、お役所の御膳だてはこれからである。

富裕層の恩恵が先に回る政策では、新産業は育成出来る道筋は開けない。

広い層の働く人達への普及が期待できる分野に、重点を置いた政策に、集中的に国の予算を配分すべきであろう。

 

実例をもとにして、効果的な政策の考え方を、説明してみよう。

自動車の分野での将来像を上げてみると、「水素エネルギー社会」への道は必要であるが、「水素自動車(燃料電池車)」の育成と普及は、不適切な政策である。

それは、富裕層への無用な補助金政策であり、水素ステーションの大幅な普及ができない段階では、広がりは期待できない。

それを補助金で進めると、不採算の水素ステーションのバラマキによって、各地での赤字補てんに無駄な税金が投入され、庶民の負担が増えるだけである。

 

それよりも電気自動車の普及の育成に力を注ぐ方が「適切な政策」になる。

現在の電気自動車の価格は、まだ少し高い段階であるが、電池の量産が拡大すれば、価格は一般庶民が購入できる価格帯になる。

さらに、用途を短距離用(100km以下)に割り切れば、搭載する電池の量を減らすことで、ガソリン車と同等以下にすることもできる。

現在の段階ですでに、急速充電器の設置は、全国で1万5千基以上にもなっているので、どこに出かけても、充電がすぐにできるので安心である。

自宅での充電では、電力が余剰になる時間帯での「割安の電気料金」によって充電ができるので、消費電力料金(燃費)は、ガソリン車よりも大幅に下がる。

こうすれば、再生可能電力の増設を進める効果もあり、恩恵は広がるのだ。(続)


水素エネルギーの利用策は再生可能電力の貯蔵利用に。

2015-10-29 | 快適エネルギー社会問題

水素エネルギー社会の到来は、燃料電池車の大量普及によって、国民全体への波及が期待されるわけではない。

再生可能エネルギー電力が、今後の政策支援によって、大量に普及促進が図られる段階では、電力を一時的に「水素エネルギー」として蓄積するのが良い。

既に【九州電力の管内】では、送電線容量の制約によって、太陽光発電の接続量を制限する必要が生まれている。

電力需要量が少ない時期に、晴天が続くと「太陽光発電の発電量が過剰」になるので、【発電させない様にする契約】にしている。

水素エネルギー化ができれば、発電を制限する必要がなくなるのである。

 

余剰電力の一次的な貯蔵ができないと、九州では「太陽光発電」と「風力発電」の新規設置ができなくなる。

設備投資をしても、フルに発電できないと、採算性が悪化するので、地域での新設の機運のブレーキがかかってしまう。

現在は畜電型のバッテリーなどに一時的に電力を貯蔵しているが、畜電に要するコストは大幅にかかるので、大量普及は望めない。

電力を水素エネルギーに変えて貯蔵する技術の革新が、早急に必要な段階だ。

 

急ぐ必要もない【燃料電池車の普及の補助金】政策を実施したり、採算性が全く望めない【水素ステーションの設置】に税金を投入して、国民の税負担を無駄に増やすなど、論外の政策は止めるべきだ。

そのお金が財源のあるならば、『電力の水素エネルギー化の蓄積設備』を、必要性の高い地域に優先的に設置助成をするべきである。

この政策ならば、再生可能電力の増設の投資と、水素エネルギーへの変換設備投資、それに、水素の貯蔵設備、さらに、水素から発電する設備が必要になる。

この様に、需要不足の日本経済には、4重にも貢献する需要喚起策になる。

 

燃料電池車の補助政策は、お金持ちや大企業への支援金政策で、【格差拡大】の影響が加速する愚策である。

再生可能電力の設置加速は、地方へお金が流れ、地域再生への一助になる。

水素ステーション補助政策は、【大都市への援助】になるばかりで、地方へのお金の流れを減少させる。

『再生可能電力の水素によるエネルギー貯蔵設備』補助政策は、「地域への公共投資策」となって、地域経済に貢献する。どちらが適切かは、自明である。(続)