庵KM

技術屋OBの環境問題独り言

経済問題。交通問題。健康問題。そして、日本の国創り問題。快適社会問題。

GDP600兆円のお祭りの御神輿は燃料電池車だ。

2015-10-27 | 経済問題

安倍内閣の新三本の矢「GDP600兆円」の目標設定は、国創りのビジョンもないままの、景気付けの掛け声だけ勇ましい【賢くない看板】である。

その中でも、エネルギー関連では「水素社会の到来」を、夢の実現であるかの様に扱って、しかも、「燃料電池車の普及」を支援すると号令をかけている。

それに踊らされたか、東京都は2020年に向けて、燃料電池車用の水素ステーションを都内に35か所以上、設置することを目標にした。

なんでも、お祭りに間に合わせる様に動きだすと、日本人は[無理にでも寄付を集めてやり遂げてしまう]国民性を利用して突進する。

 

長い将来を考えると、「水素エネルギーを利用した社会」への技術開発は必要であり、特にエネルギーの貯蔵と輸送には、必要となる技術である。

このブログで技術開発の課題を説明し、日本が最先端を進むことを期待したい。

しかし、燃料電池自動車の開発促進は、自動車企業の技術開発競争の面が多大にあって、現在の社会が必要としている方向ではない。

水素燃料を利用した自動車の初期段階では、路線バスなどの様に「水素ステーション」の必要性が少ない分野での、普及を図るのが妥当である。

 

それなのに、一部のお金持ちの好奇心を満足させ、自分は富裕層であることを誇示する「燃料電池車」のために、採算性のまったく成り立たない「水素ステーション」を各地に設置する、と言い出している。

都内に造る「水素ステーション」の設置費用と、その運営の赤字を埋める経費は、すべて都民の負担になる。

東京都は2020年までに、路線バス燃料電池車を100台導入する計画をしている。このバス用に限るならば、現在ある「水素ステーション」の立地で十分であり、都民の税金投入は必要ないし、水素ステーションの採算性も向上する。

 

また、現在の段階では、燃料電池車は「究極のエコカー」であるとの宣伝は、誇大広告であり、社会を惑わす「誤解を広める」役目を果たしている。

水素エネルギーは自然界に存在するわけではない。

今の水素エネルギーは、天然ガスを原料として製造しているので、その段階では大量の「炭酸ガスを排出」している。

電力から『水の電気分解で製造』だから、炭酸ガスが出さないとしている。

その大元の電力を作る段階では、石炭や石油を燃やす火力発電が8割である状況だから、大半が「再生可能電力」に依存する時期になれば、の話である。(続)


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