エネルギーの自給率を高めるために、石油の代替にできるバイオ燃料の国内生産を実現する。
その技術は、日本の自前の技術にこだわる必要はないので、海外の企業が開発して方法を技術導入するのは構わない。
そこで、最近の情報で「イスラエルの企業が藻の栽培」の方法で、成功したと公表されている技術を、紹介しておこう。
この技術は特許を出願していて、技術料を支払うことで、導入は可能である。
イスラエルの[UniVerve社]は、藻の栽培とその化学物質の濃縮、分離を一貫処理できる技術プロセスを開発した。
この処理の過程で、食糧、資料、バイオ燃料などが製造され、現在の原油と同等の量産コストで可能であるとしている。
コスト予測では、1バレル50ドル以内で生産できるとして、革新的な技術であることをアピールしている。
「藻の栽培でバイオ燃料の原料の生成」に成功するには、栽培面積当たりで「最高の収率、最低のコスト」の実現である、と語っている。
現在は、アメリカ、ヨーロッパ、中国の企業と基本合意書を交わして、技術移転の計画を進めている。
確かの「藻の栽培で生成された油脂」を、有価物のバイオ燃料や各種のバイオ物質を精製する技術は、海外からの移転が可能である。
しかし、大元の【光合成による藻の栽培】は、太陽光の日照率に影響されることを忘れてはいけない。
イスラエルは、地中海に面した太陽光の恵まれた地域であり、日本の日照率に対して1.4倍程度の有利さがある。
イスラエルでは本格的な工場を建設中で、藻の栽培とバイオ燃料の量産コストが実証される予定だが、規模拡大の段階でコストが1.2倍程度に上昇する。
その技術を日本に工場建設した場合を想定すると、日照率が7割程度に低下するので、量産コストは1.4倍に上昇するだろう。
両方の要因を勘案すれば、バイオ燃料の量産コストは、1.85倍に上昇するのは確実で、日本での生産は割高になるのは覚悟しなければならない。
それでも、アメリカで始めたから、技術内容は信用できると思いこんで、技術導入に紛争するベンチャー企業が飛び込んで行くのが日本である。(続)