庵KM

技術屋OBの環境問題独り言

経済問題。交通問題。健康問題。そして、日本の国創り問題。快適社会問題。

実質経済成長率を減速させるアベノミクスの矛盾が露呈。

2015-08-17 | 経済問題

安倍政権の経済政策の矛盾が、国民の消費指向を減退させたために、4月~6月期の「経済成長率」[GDP]を、マイナス1.6%に落ち込ませた。

円安誘導の結果の影響が、消費者物価の上昇の本格化の段階になり、しかも、給料の上昇は物価上昇率以下では、消費が落ち込むのは当然の流れだ。

日本経済の主要な需要の中身は、国民の消費購買力に依存しているのが約6割であり、消費者物価が上昇すれば、消費者の節約指向は高まる。

輸出に依存する割合は16%程度であって、輸出競争力によって、強化される割合は、絶対的に少なくなっているのである。

 

アベノミクスの従来の狙いは、金融市場に大量のお金を供給すれば、「企業が借入れをし易い環境」ができる、ということだった。

もともと超低金利の金融市場では、おカネの流通を増やしても、企業の借入が増えるインセンティブにはならない。

その代わりに、低金利の円が増えれば、「円安誘導」になることは自明であった。

この円安誘導で、円の価値は一気に3割程度も下がり、その分の輸出の価格競争力は強化されるが、3割も輸出量が増えるわけではない。

 

輸出企業は、円表示の利益が大幅に改善されるメリットで、株価は一気に3割どころか、5割以上も値上がりをしている。

実際の企業利益の増加分は、国内への投資には回らずに、海外市場開拓や、金融資産への投資に流れるだけで、国内へのお金の還流はわずかだ。

以前ならば、「トリクルダウン効果」で、国民の懐へのお金の還流は、数年で巡ってくるが、グローバル化した経済では、国内への還流は望めない。

「景気は緩やかに回復していく」と政権首脳は強弁するが、給料の増加が実質的に増税分と物価上昇率よりも低い現実では、強がりの言い訳にすぎない。

 

そもそも、超金融緩和の狙いには、「物価上昇目標」を設定して、2%程度の物価上昇率を実現すれば、消費者は貯蓄指向から、堅実な消費指向に転換して行く、と目論んでいたのである。

この「インフレターゲット政策」は、完全な誤りであって、消費者も企業も、そんな風潮を望みもしないし、その流れに沿って消費性向を変えることもない。

一番の優先事項は、「雇用の安定」であり、雇用環境の好転による「賃金上昇の定常的な流れ」が、この先の将来に期待出来る状況を創ることである。

物価上昇率以上に、賃金の押上ができる「強力な政治力」が必須の状況だ。(続)


コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。