超金融緩和政策の大きな誤りは、円安誘導によって、輸出向け製品の海外競争力が強くなるので、輸出金額が大幅に増えるとカン違いしていることだ。
輸出製品を生産している企業は、円安になればドル建てでの輸出品の価格をそのままでも、円換算にすれば、大幅に輸出金額はふえる。
しかし、実際の貿易統計によれば、輸出金額は増えても【輸出の数量での実績】は、減少している。
つまり、輸入原材料や化石燃料の価格上昇の影響で、製造コストが上がってしまうので輸出価格が上がってしまい、輸出量は減少の実績になるのだ。
円安によってコストアップの影響が大きいのは、化石燃料に依存した事業で、電力価格は大きく上昇し、法人向けの電力料金は3割近く上昇している。
今後も円安の流れが続く様であるから、できる限り、国産の自立エネルギーへの転換策を促進する必要がある。
その中でも、日本は四方を海洋に囲まれているので、『洋上の風力発電』の潜在的な賦存量は膨大になる。
本来ならば、他国に先駆けて「洋上風力発電の技術開発」に力を入れるべきであったが、実際には2011年の原発大事故の後から着手した程度だ。
世界での海洋国家の動きでは、イギリスが2000年代の初頭から、洋上風力発電の技術開発を進めていた。
2010年以降は、浅瀬の多い海岸沿いに、「着床式洋上風力発電の大規模ウインドファーム」を計画し、着々と設置規模を拡大している。
日本では、遠浅の海岸は少ないので、設置には、『浮体式洋上風力発電』が、主力の技術になる。
投資額が大規模になるので、事前の計画段階では、「洋上の風況調査」が必須になるは、当然であった。
ところが安倍政権が、事業計画立案の基本となる「洋上風況調査マップ」の作成に取り組んだのは、2015年度の政府予算が初めてである。
安倍政権の発足直後の2013年度の予算で、取り掛かっていれば、2015年度には、「洋上風力発電適地」の選定で、ウインドファーム計画に着手できていた。
しかし、2年も遅れているので、風況マップの完成は2016年度末になる。
ウインドファームの建設計画に着手がして、投資計画がスタートできるのは、2017年度以降になってしまう。これでは遅すぎる成長戦略の典型である。(続)