経済産業省の産業育成に関する能力は、高度経済成長時代には、日本株式会社の頭脳と言われるほど、海外からも戦略的な遂行能力を評価されていた。
それが、1980年代バブル経済に浮かれたころから、【傲慢体質に堕落】した上に、将来の日本のあり方を描きながら政策を立案する能力を喪失した。
1990年代のバブル崩壊以後は、目玉となる産業育成は、短期的なサイクルで勢い失って方針転換ばかりする、迷走ぶりであった。
2000年代には、旧時代産業にしがみついて、保護する政策だけであった。
典型的なのが、電力業界の保護であり、原発の拡大路線の推進であった。
原発が国民の支持を完全に失っているのに、しがみつく「原子力族」を守る姿勢で、その生き残りの根拠を、「地球温暖化政策に貢献」との厚かましさである。
その一方では、石炭火力発電を国内も海外へも積極展開する【時代錯誤の基本方針】を掲げて進めようとしている。
その言い分は、石炭火力発電の旧式設備を最新の高効率システムに転換すれば、環境対策になる、という厚顔ぶりである。
肝心の環境省からは、石炭火力の増設は日本が国際的に約束している「温室効果ガスの削減目標」を守れなくなる元凶になるので、再考すべきだ!・・と。
以前に国際条約となった、「京都議定書の削減目標」は、1990年比で6%削減とされたが、経済産業省の管理責任の産業界では、削減ができなかった。
森林吸収源としての機能で、林野庁での政府予算をあて、各地の植林地の森林機能を回復させる活動で、3%以上を達成した。
残りの削減分は、民間の省エネルギ―活動で削減し、達成不足分は、電力会社が海外での削減分「排出削減クレジット」の購入で埋め合わせた。
結局、経済産業省が進めるべき「再生可能エネルギー」産業の育成を加速させて、石油の消費量を削減することは、まったく出来なかったのである。
林野庁の予算は、国民の税金であり、電力会社の「排出削減クレジット」の購入費用は、電気料金に転嫁して、国民からのおカネを充てるだけである。
これほど、国民に対する責務を果たしていない経済産業省の幹部は、今度は、こともあろうに【温室効果ガスの排出増加】を引き起こす、石炭火力発電の電源構成比率を26%に高い割合にするつもりでいる。
石炭火力発電で排出される[CO2濃度]を、大幅に引き下げない限り、国際的な約束は、果たせないで世界中から批判を浴びることは確実である。(続)