電力の小売り事業が、自由化されるのは2016年4月からである。
九州電力管内の住民は、今までの送電線を通じて、「九州電力が発電した電力」を、いやおうなしに買わざるを得なかった。
実は、法人に供給される「高圧電力」は、すでに自由化されているので、九州電力と契約する必要はなくなっている。
企業経営の観点からは、九州電力の様な【安易な値上げを目論む「傲慢企業」】は、本来は取引先にはしたくない、敬遠される企業なのである。
セブンイレブンでは、関西地区でのチェーン店での契約電力を、この10月からは「東京電力」に変更することにした、と報じられている。
関西電力は原発の再稼働を目論んでいたが、不適格な立地や基準を見たさない設備で、再稼働は大幅に延期されている。
再稼働が遅れていることを理由に、法人向け電力を20%以上も値上げし、さらに、再値上げを検討中というのでは、契約解除も当然の判断だ。
新電力事業を手掛けて、今までに有効に活用されていない発電設備を稼働させて、適切な価格で提供する「新電力会社から購入」するコトを選択した。
今までの様な地域独占による不合理な経営では、法人企業には取引先から外されて、事業は縮小してマスマス赤字に転落していく。
【計画どうりに原発が稼働出来なかったら値上げ】などの傲慢な経営判断は、民間企業ではあり得ない経営である。
電力会社は消費者の方の要望を謙虚にとらえて、経営姿勢の刷新を図らなければ再生はできない、と覚悟が必要である。
原発の再稼働が、将来の電力事業経営に役立つと言えるのか、再考の段階だ。
地域独占の電力事業体制は、2011年3月11日を境にして、【電力事業敗戦】を迎えた状況になっていると認識すべきだ。
この敗戦に至った原因と組織の不備は、外部から多くの批判を浴びているが、電力事業者の自らの反省が無ければ、出直しは不可能であろう。
そして、安全神話、安価神話は崩壊している状況から、消費者の信頼回復が最優先すべき時期である。
原発再稼働の是非の関係なく、消費者の意向をくみ取る経営姿勢を転換出来ない電力事業者は、経営者の能力はない。
まず、国民に対する「心からのお詫び」をするコトが第一番の責務であろう。