安倍政権が、お金の流通量を増やせば、企業が借り入れを増やして設備投資を実施すると、想定したアベノミクスは、完全にマトハズレに終わっている。
この発想は、【高度経済成長時代の幻想】に囚われたままの、「供給力重視」の経済しか頭にないからである。
経済成長が未熟な段階では、技術進化によって廉価に供給できる製品が、旺盛な需要によって次々に市場で買い求められて、生産が追い付かない。
その活況を未だに夢見る【企業、行政、政治家の、旧時代発想の残骸】である。
いまは、特別の新技術、新商品分野の革新が起きた場合には、この供給力重視の政策と経済活性化が適用できる。
しかし、それも短い期間で、需要を満たす生産力の強化が図られるので、経済の活性化には一次的で限度がある。
大きな投資を決断するには、長期に渡って需要の拡大があると、市場調査によって確信が得られた場合にだけ、大企業の投資が実施される。
それは、多くの場合には、日本市場ではなく海外の大人口の国の市場である。
大規模の製造事業の投資では、人件費が安く、エネルギー費用、不動産費用、物流費用などが、経営的に有利な国や地域に投資先が選別される。
日本に大規模の新規投資が計画される可能性は、ほとんどなくなっているのだ。
製造業の新規投資は限られるが、エネルギー産業への投資は活発化する。
それも、化石燃料依存から離脱する分野に、大きな投資機会が生まれる時代だ。
特にエネルギーの輸入は「100%近くの輸入依存」であるから、この分を、国内供給の自立化に向けるのは、日本の将来の国策として最重要である。
あらゆる手段と、政策的費用を投入してでも、国内への新規投資が必須である。
電力の再生可能エネルギーへの依存比率の拡大は、この20年間は、確実に高まる潮流である、
このための投資機会は、各地への経済活性化の起爆剤になって行くだろう。
再生可能エネルギー電力の大きな弱点は、出力を一定に出来ない「風力発電や太陽光発電」の特性にある。
これを電力市場の需要変動に適合させるには、『畜電技術や、水素などの二次エネルギーに転換して貯蔵する技術』の進化が待たれている。
この方面に積極的に先行投資をするコトで、日本経済は緩やかに成長軌道にのり、「アベノミクス」では不可能な地域へのおカネの還流が実現するのだ。(続)