庵KM

技術屋OBの環境問題独り言

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九州電力の関係者だけが喜ぶ【不快電力依存】回帰。

2015-08-12 | 核エネルギー・原子力問題

 原発の再稼働によって、九州電力管内の電力消費者は、経済の好転を期待出来る様になったであろうか。

九州電力は、保有している原発6基が2011年12月まで運転を継続してきたが、

厳しい世論の批判に晒されて原子力行政に大改革によって、停止させられてから、安倍政権が「世界一厳しい安全基準に沿わせる」と連呼する政策に従って、原子力規制委員会の審査基準に適合させることだけを目標にしてきた。

九州地域の電力消費者のことよりも、自社の財務の悪化が目の前に迫った。

 

2011年度~2014年度の経常損失は累計で7000億円を超える。

2013年の春に他の電力会社も横並びで、電力料金の値上げを認可されて、赤字幅は縮小したが、原発の再稼働が前提の経営計画では、4年連続の赤字だ。

今回の川内1号機、2号機の10月中旬の再稼働が進めば、黒字化ができることで、大喜びである。

川内市内の作業員が宿泊や生活必需品消費で、恩恵を受ける地元の業者は、再稼働の仕事と、1年3カ月毎の定期検査作業により、お金の消費が地元に回る。

これでメデタシ、ならば、政府や自治体は問題解決と楽観する。

 

しかし、原発再稼働の影響でどこにマイナス要因が出てくるか、誰も分析していない上に、九州電力の電力料金が下がる可能性はゼロである。

経済界からは、再稼働は賛成との声で、これで電気料金値上げの圧力が和らぐとの歓迎の姿勢だ。

しかし、原発の発電コストが一番安いとの神話を無批判に受け入れてきたツケが、産業界の経営責任となって跳ね返っているのが現状である。

原発の発電コストは2004年には[4.6円/kWh]と公表されていたのが、2014年には、[10.1円/kWh]以上になる、と公表されている。

 

現在の電力会社の体質が、電力消費者のことなどは後回しで、とにかく自社の独占体制の維持と社内、関連会社の利権を優先してきた。

原発ゼロの時期には、徹底的に経営の合理化と自社の緩んだ経費体質を、正常な企業レベルに引き上げる絶好の機会であった。

原発再稼働の流れは、この様な健全化の改革を先送りする上に、新規の『再生可能電力の導入』には、確実にブレーキがかかり、新規投資は縮小する。

九州地区での経済の活性化には、「マイナス要因」としかならない【不快電力への回帰】は、ホンの一部の関係者しか、歓迎しない「停滞の信号」である。(続)