庵KM

技術屋OBの環境問題独り言

経済問題。交通問題。健康問題。そして、日本の国創り問題。快適社会問題。

人件費抑制が経営者の成果とされた時代はブラック低迷期だ。

2015-08-03 | 経済問題

賃金水準の引上げに政府が介入する方策の一つは、「最低賃金の決定」に影響力を発揮することで、実行可能な政策目標である。

民主党に政権交代した時点で、当然、政府が働き掛けて引上げを実施する筈が、3年半の政権担当時代に、有効な政策が打ち出されなかった。

何をやるにも【議論が迷走する民主党政権】であったから、と片付けるのは、将来のためにもならないので、野党にいる間に徹底的に反省すべきだ。

政権公約を実行できない理由は何か、国民の前に判る様にして対策を検討し、次期の政権交代を目指す「政権公約として掲げる」ことが、必須であろう。

 

そこで、できない理由を上げて言いわけをする事態を想定してみよう。

まず、賃金引上げは人件費の相対的な上昇を引き起こすので、国際競争に晒されている業界では、企業の経営不振を招きかねない、との理由を持ち出す。

歴代の自民党政権は、この論法を採る民間企業の言い分を、そのまま鵜呑みにしてきたし、労組の幹部も、この理由のマエには、ダンマリを決め込む。

だが、国際競争力とは関係しない、「外食産業や流通業界」なども、この賃金抑制の風潮を利用して、従業員を非正規雇用に比率増やし、平均賃金を引き下げることに経営努力を重ねてしまった。

 

この影響によって、業界の中での賃金抑制競争を引き起こし、従業員の収入が低い水準の低迷する長期の賃金デフレの原因となってしまった。

自分のところだけの人件費抑制ならば、業績は好調になるかも知れないが、全体で人件費の抑制では、購買力が落ち込むのは目に見えている。

国際競争力とは関係しない業界の人件費抑制は、自分の首をじわじわと締めている様な事態で、これを20年間も続けてきたのは、愚かな経営である。

この経営路線では20年近くに渡って、【価格破壊】との衝撃的なスローガンで、消費者のためにやっている様で、実は、消費者の【収入を破壊】してきたのだ。

 

国際競争力に関係しない業界の賃金は、「物価上昇率+経済成長率」の数値を目安に、常に上回るレベルの引上げを実施すべきである。

これが、21世紀の『期待される経営姿勢』であり、これが実現できない経営者は交代を言い渡される時代になっている。

では、製造業界などで「国際競争力」の低下が懸念される業界は、どの様に対応するのが、適切なのか。

人件費の抑制策は、給与水準の抑制ではなく、生産性向上で対処するべきだ。(続)