日本は2000年頃までは、世界の中でも「環境先進国」と言われて、「気候変動対策」でも積極的に取り組み、京都議定書の交渉に取り組んだ。
それまでの[CO2排出]のレベルは、世界の中でも、もっとも削減が進んでいて、他の諸国の模範とされていた。
ところが、京都議定書が発効したにもかかわらず、日本の産業界は、「自主的削減目標」を大幅に緩くしてしまい、経済産業省も何もしようとしなかった。
ただ、原子力発電の増設だけで、[CO2排出]が減少することに依存した。
しかし、今や「原発依存は国民からの支持を失っている」状態で、化石燃料に依存する割合が最大になっている。
特に、これからの時代に向かって「石炭火力発電所」を新設する路線は、日本を【環境後進国】に追いやる、容認しがたい方向である。
環境省は、電力業界の石炭火力発電所の環境影響評価(アセス)手続きで、「是認できない」との意見書を経済産業大臣に提出している。
電源開発による山口県の計画。中部電力による愛知県での計画。さらに、九州電力の「千葉県袖ケ浦火力発電所」新設計画に対する厳しい意見書である。
経済産業省は、曖昧な態度のママに、見過ごすつもりで、「業界の自主的取組」をすれば良いとしていた。
しかし、電力業界は、具体的な仕組みもなく、目標値も示さない「カラ手形の様な自主的取組」をするとしただけである。
年末の「国連気候変動枠組み締約国会議(COP21)」までに、早急に具体的な[CO2排出]の削減目標値を上げて、その対策を義務付ける必要がある。
しかし、京都議定書の時にも、原発依存でそれ以外の具体策は皆無であった。
石炭火力発電所はいったん新設したら、稼働開始から40年間は、火力発電になかでも最大の[CO2排出]を出し続ける。
経済産業省は、20年もたてば[CO2排出]を分離して、地下貯留か他の産業で利用する方策ができる、と淡い期待をもっている。
これは原発を稼働させておきながら、[放射性廃棄物の地下処分]は、そのうちに実現できる筈だから、新設を進めてしまえば、そのうち何とかなる・・!。
このやり方の魂胆は、難しいことは次世代の後始末に仕事に残し、自分たちだけが甘い汁を吸って、いい思いをしたいだけなのである。
40年前のやり方が、通用するとでも思っているのか、許しがたい魂胆だ。(続)