安倍信三という政治家は、言葉に出て来る信条は立派な理念に沿っていて、多くの人が賛同する。
今回の70年談話においても、従来の日本の行動を反省し、お詫びする姿勢を周辺諸国に伝える内容だけに留めないで、未来志向の考えを打ち出している。
今の世代にはむけて、先の大戦の反省とお詫びを継承することだけでなく、将来の平和国家としての日本の姿勢を訴える呼びかけを盛り込んだ。
負の遺産としての重荷をかるくして、自由な発想と行動をできる環境を引き継ぎたい、との広い見識を打ち出す。
しかし、安倍信三のやることと言えば、次世代の負担になる様な「負の遺産」の始末をつけない政策ばかりにしがみついている。
日本の70年の平和を保った[憲法の精神]を、国際紛争に巻き込まれる制度に変えてしまおうとする。
日本の長い間の繁栄の元となった、格差の少ない社会を、富裕層の富だけを増やして、見かけの経済数値だけを追い求めて行く格差拡大経済を推し進める。
エネルギー政策では、負の遺産となる原発関連の設備を、電力企業のために温存し、あと始末の費用は国民の税金投入で、ツジツマ合わせに終始する。
この様に、今の世代で負債となってしまう未解決問題を、ほとんど先送りをして、【次世代に対する負債を増大】させる。
なんでも、現政権の処理政策は、過ちが明らかになってきても、先人の実績には異論をはさまない様にして、前例踏襲の路線ばかりに固執してしまう。
原発関連では、使用済み核燃料の再処理路線は、明らかに失敗であるのに、今までの投じた経費が3兆円近くになっているので、今さら中止できない。
まだ稼働開始もしていない、建設中の原発が3基あるが、これも中止できない。
夢の原子炉と言われた高速増殖炉『もんじゅ』は、アイマイ処置しかできない。
先送りばかりのエネルギー政策では、経済の活性化と新産業に多大の貢献が期待出来る「再生可能電力」の、促進策は、中途半端で迷走し始めている。
地球温暖化対策にとって不可欠の[CO2排出]の削減政策は、【石炭火力発電を積極推進】する、経済産業省の政策を黙認しているだけである。
国際公約に完全に逆行する政策を、転換できずに、電力業界に責任を転嫁する。
安倍政権が負の遺産となりかねない懸念を「白紙撤回して原点から見直す」としたのは、新国立競技場問題だけである。
これくらいしか決断できない小粒か?