日本の経済成長に不可欠の新産業は、次世代エネルギーとなる『太陽光発電』や『風力発電』の新技術開発によって育成される。
今の段階になっては自明のことが、2000年頃の「経済産業省の幹部官僚」は、全く理解していなかった。
2000年代初頭までは、日本の太陽光発電産業が世界の先頭を切って、技術革新を実現していたのである。
しかし、2003年頃からは、新産業として育成する「国家的な戦略」を立てないままに、補助金制度を打ち切ってしまった。
何故、世界一になれる新技術、しかも、エネルギー産業の中核に育成が可能な分野を、切り捨ててしまったのか。
それは、将来にエネルギーの根幹を、当時では原子力発電が最も安価である、との「安価神話」が、まかり通っていたのである。
2004年頃に出された発電コストの公表値では、[4.6円/kWh]とされていた。
当時の太陽光発電の発電コストは、[60円/kWh]以上もしていた。
だから、将来は原発エネルギーに依存するのが、日本経済の安定と発展には、もっとも適切として、再生可能電力は支援しない国策にしてしまった。
この基本国策によって、「太陽光発電関連産業」は、成長軌道から外れて研究開発も力を抜いてしまったのである。
ところが、2014年時点での原発発電コストは、[10.1円/kWh]以上となり、太陽光発電の[24円/kWh]との差は、大幅に縮小している。
しかも、技術進歩はさらに進展して、2030年には火力発電コストと同等のレベルの[12.7円/kWh]にまで、発電コストが安くなる予測である、
この様な技術進化の予測を無視して、経済産業省は、未だに【原発がベース電源になる】と想定して、電源構成比率を20~22%モノ大きな数値を掲げる。
これだけ、原発に比率が高いと、太陽光発電などの出力が変わる電源は、比率を下げておく必要がうまれてしまう。
その結果が、2030年での再生可能電力の電源構成比率が22~24%と、世界水準から見て圧倒的に低い普及比率に、留めてしまう目標としてしまった。
【原発を可能な限り残して、再生可能電力を抑える】国策では、経済成長の牽引力となる産業を育成する意思がないのだ。
これが経済を主管する中央官庁のレベルであることが、大きな弱みである。(続)