現代の先進資本主義国の最大の問題となりつつある「格差拡大社会」に対し、アメリカや欧州諸国は、「最低賃金の大幅引上げ」が、主流の政策になっている。
日本の最低賃金は2014年では平均「780円/時」であるが、アメリカでは「900円/時」(連邦最低賃金)、フランス「1310円/時」、イギリス「1250円/時」、ドイツ「1160円/時」となっていて、さらに引上げの傾向である。
アメリカ・ニューヨーク州では、外食チェーン従業員の最低賃金を、現在の「1080円/時」から段階的に「1850円/時」に引上げを勧告した。
ニューヨーク州では2018年まで、他の州でも2021年までに引上げの予定だ。
米企業においても従業員の確保には、平均時給の引上げの動きが広がっている。
外食産業や流通業では、製造業界に比較して低い時給であった。
マクドナルドでは7月に時給を引上げ、2016年末までに「1240円/時」以上にして行く。
小売大手ウォルマートでは、2016年2月に引上げて、従業員の確保に努める。
オバマ大統領の[中間層の底上げ政策]に繋がる、底辺からに押上効果を狙う。
日本では、2015年にやっと「798円/時」になるが、それを評価に値すると労働側委員は言い出す始末で、認識不足を露呈している。
安倍政権は、健全な中間層を厚くする政策を掲げるが、大企業従業員の賃上げには、「官製春闘」と揶揄されながらも、積極的に「口先介入」して、何とか物価上昇率に追い付ける様にした。
中小企業業界にも、口先での賃上げ要請をしたが、効果はほとんどない。
政府の主導が及ぶ『最低賃金の引上げ』では、【政治介入はダメ】とのメディアの論調に抑えられて、動きは封じられてしまった。
この様な各国の情勢であるから、日本での【最低賃金の引上げの最大の抵抗勢力】は、労働界、有識者、メディアの幹部達である、と断定できる。
安倍政権の賃金引上げに対する取組姿勢は、今の段階では、一番努力していると映る状況である。
5年前に、働く人たちの味方として、華々しく政権交代した民主党の幹部達は、時給1000円に引き上げる目標には、一切、触れようともしない。
こんな、軸足の定まらない政治家達を、信用する国民がいるとは、到底思えない状況であるのに、相変わらず、敵失を批判するだけに明け暮れている。
安倍政権と野党が共同で最低賃金目標を「1000円/時」と決めたらどうか。(続)