なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

腹膜偽粘液腫の悪化

2018年07月21日 | Weblog

 前回(先々月)入院時に腹膜偽粘液腫と診断された91歳女性は、できるだけ自宅で過ごすことを目標にいったん退院になっていた。先週木曜日に受診した時には、ほとんど食事摂取ができなくなっていた。入院を勧められたが、患者さんは入院したくないと言って帰宅した。今週の火曜日にいよいよ食べられなくなって予約外で再受診した。家族の話では、患者さん本人も入院を納得したということだった。

 今度入院する時は退院のない入院になることを説明されていた。家族はとにかく自宅でみているのがつらいので、何をしてほしいということではなく、とにかく病院で預かってほしいという。

 通常は虫垂や卵巣の粘液嚢胞腺腫(腺癌)の破裂・腹膜播種から生じるが、この方は馬蹄腎にできた嚢胞性腫瘍が破裂していた。尿膜管腫瘍由来なのかもしれない。CEAとCA125が上昇していて、腺癌を示唆している。

 病状悪化時はDNRの方針で、点滴と対症療法で経過をみることにした。家族から腹膜偽粘液腫の偽は何ですかと訊かれた。播種した粘液腺癌細胞が産生する粘液が貯留していくが、粘液の中に腫瘍細胞は浮いているものの、粘液自体は腫瘍ではないからという意味?。

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輸血はできない

2018年07月20日 | Weblog

 一昨日の早朝に右下腹部痛で58歳女性が救急外来を受診した。前夜は局在のはっきりしない腹痛があり、しだいに右下腹部に局在した痛みになったという経過だった。 

 当直は大学病院外科からバイトで来ている先生で、さっそく虫垂炎を疑って腹部造影CT検査を行った。虫垂の腫大・壁肥厚があり、他疾患は否定的で、急性虫垂炎と診断された。血液検査で白血球増加・CRP軽度上昇を認めた。

 外科入院で抗菌薬投与が開始されたが、この患者さんには事情があり、電子カルテにマークが付いている。宗教的理由で輸血拒否なのだった。他の病院での対応を考慮した結果、当院でも手術には対応できないということになっていた。何でも、対応できる病院はあり、信者の方たちはそれをわかっているということだった。

 今回は保存的に治療して症状は軽快してきていた。週末ということもあり、週明けまで絶食・抗菌薬継続で経過を見るようだ。

 

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LAM

2018年07月19日 | Weblog

 今日から2日間医学部の2年生が病院実習に来ている。昨年好評だった外科の手術見学をメインにしている。手洗いと術衣着用がいかにも医師という感じがするはずだ。今日の手術は院長先生の執刀で、見学時間は予定よりも長くになっている(3時間近い)。熱心に指導をされたようだ。

 内科は病棟で患者さんの問診や簡単な診察をしてもらうだけなので、インパクトは弱い。心電図をとったり、簡単な講義をしたり、30分×3パターンで何とか終了した。これから宿泊しているホテルにある店で、病院の若手の先生に参加してもらって、ささやかな歓迎会になる。

 

 一昨日、外科に気胸の患者さん(32歳女性)が入院していた。自然気胸にしてはと思ったが、大学病院呼吸器内科にリンパ脈管筋腫症(LAM)で通院している方だった。胸部CTで、両側肺に多発性に嚢胞がある。気胸をきたした右肺には大き目のブラが認められる。

 担当の外科医が大学病院に問い合わせたところ、前にも気胸で入院していて、治癒するのに数か月を要したという。呼吸器外科では、将来的に肺移植を想定してるので、手術はできるだけしたくないらしい(すでに右肺に癒着がある)。

 入院後は胸腔ドレーンを挿入して肺は広がってきている。このままうまく治ればいいが、思わしくなければ大学病院に転院の方針となっていた。

 教科書的には、LAMの画像はもっと進行した状態で記載されていたはずだ。患者さんの年齢は好発年齢そのものだが、大変な病気になったものだと思う。

 

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検査し過ぎ

2018年07月18日 | Weblog

 昨日の内科外来を31歳男性が受診した。前日夜から頭痛があり、その日の朝から39℃の発熱があった。頭痛の発症は突発とはいえないようだ。咳・鼻・喉の上気道症状はなかった。

 腰痛もひどいという。運搬の仕事をしている屈強な方だった。ふだんから腰痛が軽度にあるが、ここまでひどくないという。また昨夜左歯肉の疼痛があり、出血もしていた。診察時は診ても異常は指摘できなかった。圧痛もない。なんでも普段も時々同様の疼痛が起きていたそうだ。短時間で治まり発熱もないのでそれで受診したことはない。口腔内の病変からの菌血症も想定してしまった。

 意識清明で神経症状はない。jolt accentuationは頭痛の増悪があり、陽性になる。髄膜炎なのか?。頭部CTは異常がないようだが、絶対くも膜下出血がないとは言えない。

 神経内科医に相談すると、頭部MRIをとってみてはということだった。微小なくも膜下出血も脳炎の所見もなかった。アセリオ1000mg点滴静注をすると、解熱して頭痛も軽減している。腰椎穿刺は1日見合わせて、翌日の状態で決めることになった。

 今日外来に来たが、解熱して頭痛も軽快していた。食欲も良好だった。カロナール500mg錠を頓用で処方していたが、昨夜1回だけ内服したそうだ。jolt accentuationは陰性になっている。腰椎穿刺は不要だった。腰痛も軽快している。カロナールを追加しますかというと、4回分残っているのでいらないと言われた。

 何だか検査のやり過ぎになってしまったようだ。神経内科に相談する前に血液培養も2セット提出していた。昨日さまざまな検査をする前に疑っている病気の話を繰り返ししていたが、患者さんの目的としては解熱鎮痛薬をもらいに受診しただけだった。昨日は会計でいくら支払ったのだろうか(けっこうな高額のはず)。わかってないなあ、というしかない。

 発熱・頭痛がぶりかえた時や、その他の症状が出現したら、すぐに受診してもらうことにした。何らかの夏風邪ウイルスによるウイルス性髄膜炎?。

 

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多発性脳梗塞~熱中症の影響?

2018年07月17日 | Weblog

 昨日(海の日)の夜に受診した82歳男性は多発性脳梗塞だった。前々日の日中、暑い中で草取りをして大分疲れたそうだ。その夜から体調が悪くなっていた。昨日はあまり食事もとらずに過ごしていて、夜に家族が帰宅した時に、反応が悪いのに気付いて救急外来に連れてきた。

 会話はできるが、少し呂律が回らないような印象があった(患者さん本人はいつもと変わりないと言っていたが)。当直の外科医は頭部CT検査を行って、出血はなく明らかな梗塞もなかった(後でMRIと比べると指摘できる)。

 頭部MRIも検査したところ、小脳と脳幹部に複数の梗塞巣を認めた。MRAで脳底動脈の上部と両側の後大脳動脈と上小脳動脈の近位部に狭窄があった。内頚動脈系はそれほど狭窄が目立たない。

 心電図では洞調律で心房細動はなかった。多発性でシャワーエンボリが疑われたが、MRAからは複数個所に脳梗塞を生じてもいいくらい狭窄が目立つのでアテローム血栓性になるようだ。

 内科の若い先生が担当となって、指示を出していた。病室に患者さんを診に行くと、意識清明で受診時よりもずっといいと話していた。若干構語障害はありそうだ。梗塞巣の進行がないかどうか、頭部MRIを再検する必要がある。動脈狭窄を確認するためにCT angio.も必要かもしれない。血管内治療というわけにもいかないから、抗血小板薬でがんばるしかないか。

 MRAの所見からはいずれ脳梗塞になったのだろうが、暑い中の作業で脱水傾向(熱中症)になったのが影響したと思われる。

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左方移動

2018年07月16日 | Weblog

 内科学会講演会2018がオンデマンドで見られるようになっている。左方移動の話が面白い。

 

「ルーチン検査(血算・生化学・凝固検査)にて細菌感染症の病態を把握する」

 信州大学医学部病態解析診断学 本田孝行先生

 

好中球は生体防御の中心的役割を果たす

1.細菌感染巣に移行し、細菌を貪食する

2.好中球減少により、細菌感染症を発症する

      ↓

好中球の生体内動態を推測できれば細菌感染症の検査として使用できる

 

左方移動の程度は好中球消費量と産生量を反映

1.細菌感染症は好中球を消費する病態と定義

 ・好中球消費が多いほど重症

2.好中球消費が多ければ、より幼弱な好中球が出現

 ・分葉核級が不足すれば桿状核球を供給

 ・桿状核球が不足すれば後骨髄球を供給

 ・後骨髄球が不足すれば骨髄球を供給(末梢血に出るのは骨髄球まで)

3.左方移動は骨髄の好中球産生量も反映

 ・網赤血球の割合は骨髄の赤血球産生状態を反映

 ・幼弱好中球の割合は骨髄の白血球産生状態を反映

 

左方移動

定義

 白血球分画において桿状核球が15%以上

朱・斉藤の実用的基準

 軽度左方移動 桿状核球が分葉核球の半数以下

 中等度左方移動 桿状核球が分葉核球の半数から同数まで

 高度左方移動 桿状核球が分葉核球よりも多い(骨髄球、後骨髄球も出現)

細菌感染症の重症度を反映)

 

例)肺炎球菌肺炎

1.肺胞内に肺炎球菌が進入

2.マクロファージが貪食 好中球遊走因子を出す

3.好中球が肺胞内に集簇

4.菌が消失して好中球も減少 線維芽細胞が出現(炎症はまだある=器質化)

 

好中球の変動

 20時間までは低下する(ここは捉えられない)

 1日経過して増加してくる

 良くなってもまだ増加していることも(炎症を反映)

 

好中球数は白血球数と同じ意味で使用してよい

 

桿状核球の割合(左方移動)

 3~4日で治まる(好中球数、CRPはまだ炎症を反映して高値)

 

左方移動と白血球数(ここが一番重要なポイント)

1.左方移動なし+白血球増加

  好中球消費はない

  細菌感染症以外で好中球が増加している(ステロイドなど)

2.左方移動なし+白血球減少

  好中球消費はあるが、骨髄での産生が亢進していない

  細菌感染症の初期

3.左方移動あり+白血球増加

  好中球消費があり、骨髄での産生が亢進している

  細菌感染症があるが、好中球の供給が十分である

4.左方移動あり+白血球減少

  好中球の大量消費があり、骨髄での産生も亢進している

  細菌感染症はあるが、好中球の供給が不十分で危険な状態

(左方移動も白血球数も連続数であり、時系列でより詳しく病態が捉えられる)

 

左方移動のない重症細菌感染症(好中球消費量が少ない)

 左方移動の有無および白血球数では判断できない、つまり好中球の消費増大で論じられない重症細菌感染症がある

 消費される白血球が少ないか、血中から好中球を消費しにくい感染症で、骨髄で好中球が増産されないので左方移動がなく、白血球数増加もない

1.感染性心内膜炎

 好中球が対処すべき細菌数が少ない

2.細菌性髄膜炎

 血中から動員される好中球が少ない

3.膿瘍

血中から動員される好中球が少ない

 

なぜ、左方移動は使用されなくなったのか

1.細菌感染症において好中球の情報は重要か

 ・好中球が増加すれば、細菌感染症の可能性がある

 ・好中球の割合が多ければ、細菌感染症の可能性がある

 ・左方移動の所見は、上記2つより優れていない

2.自動血球計測器が開発された頃の大規模研究の誤り

 ・左方移動は好中球増加、好中球の割合増加よりも有用ではない

 ・一時点(入院時)で行った検査の研究であった

3.左方移動はすべての細菌感染症のすべての時期の所見ではない

 ・左方移動を生じない重症細菌感染症がある

 ・細菌感染症の初期(24時間まで)は左方移動は生じない

 ・感染巣から細菌が排除され左方移動はなくなっても、白血球数上昇、CRP高値は継続している

 

・白血球数と左方移動で、細菌感染症の病態が解明できる

・一時点ではなく、時系列で解釈すると情報が倍増する

・ルーチン検査は、単独ではなく、複数項目で解釈すると、その威力を増す

    ↓

CRPを加えると、さらに何がわかるか

 

C-reactive protein(CRP)

 ・Streptococcus pneumoniaの多糖体と沈降反応を示す115000 daltonの蛋白で、206のアミノ酸から形成される

 ・マクロファージの活性化によりIL-6(TNFα、IL-1βなども関与)が産生される

  IL-6は肝細胞に作用してCRPを産生する

 ・サイトカイン刺激から4-6時間で産生され始め、8時間ごとに倍増する

  ピークは36-50時間後である

 ・半減期は19時間であるが、ベースラインに戻るには単刺激であっても数日かかる

 ・血液透析はCRPに影響を与えない

 

血小板減少

1.血小板の産生低下

 ・骨髄占拠性病変(癌の転移、骨髄線維症)

 ・物理的障害(放射線照射)

 ・骨髄障害性薬剤の投与(抗癌剤)

2.血小板の破壊亢進

 ・脾臓以外の小血管床での破壊(血管腫、DIC、敗血症など)

 ・機械的原因による破壊亢進(心臓人工弁、対外循環、感染性心内膜炎)

 ・免疫的機序による破壊亢進(ITP)

 ・大量出血、大量保存血輸血

 ・脾腫による破壊亢進

(細菌感染症で血小板低下は敗血症を反映する)

 

身体所見をとるように検査値を読んでみよう(信州大学)

1.栄養状態はどうか

2.患者の全身状態の経過はどうか

3.細菌感染症はあるのか

4.細菌感染症の重症度は

5.敗血症の有無

6.腎臓の病態

7.肝臓の病態

8.胆管の病態

9.細胞障害

10.貧血

11.凝固・線溶系の異常

12.電解質異常

13.動脈血ガス

 

ルーチン検査を病歴、診察と同じように臨床推論に使用する(感度、特異度が高い)

 

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左脚ブロック波形と右脚ブロック波形

2018年07月15日 | Weblog

 今日は日直で病院に出ている。気温が高く、ソフトボールの大会に出ていた高校生女子が熱中症で救急搬入された。若いので点滴をするとすぐに元気になった。500mlを3本入れて帰宅とする。

 金曜日の当直は他の病院から来てもらっているバイトの先生だった。土曜日の早朝にC型肝硬変・慢性腎不全で内科外来に通院している89歳女性がめまいを訴えて受診していた。心拍数30/分で、心電図で完全房室ブロックだった。心臓血管センターのある専門病院に救急搬送されていた。

 この患者さんはふだんの心電図では完全左脚ブロックだった。受診時には、完全右脚ブロックの波形になっていて、時々完全左脚ブロックの波形も出ていた。一瞬奇異に感じたが、完全房室ブロックなので、心室の補充収縮が左右から二源性に出ているだけだった。

 刺激伝導系自体の問題か、心筋梗塞に伴う房室ブロックかということになる。下壁梗塞が疑われるが、ST上昇ははっきりしなかった。血清クレアチニン1.76mg/dlでeGFR21だと、心カテの適応はどうなるのか。一時的なペーシングで経過をみるのだろうか。方針が決まるまで診ていただいて、後は当院に転院依頼が来ると思う。

 

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おろおろ

2018年07月14日 | Weblog

 火曜日に内科新患を診ていると、再来に通院している83歳女性が受診した。別の病院に移った内科の若い先生が高脂血症や便秘で診ていて、その後は大学病院から来ているバイトの先生の外来になっていた。睡眠薬(マイスリー)も処方されていた。数人の先生が交代で来るので、眠れないと言われても睡眠薬を出すだけになっている。

 3月か4月ごろから睡眠薬を飲んでも眠れなくなったという。寝つきも悪いが、早朝に覚醒してその後は眠れなくなる(実際は少し寝るらしい)。イライラとして気持ちは焦るが、家事は何も手につかない。次々と心配になってくる。死んだ方がましだと言っていた。あまり気分の日内変動はないようだ。食欲はあり、体重減少はなかった。

 誠実そうな夫が付いてきていて、どう対応してわからないくて困惑していた。これといって家庭内に問題があるわけではない。発症時よりも症状は強くなっているようだ。

 他県の(当院は県境にある)総合病院に行ってみたそうだ。そこは精神科の外来があるが、ドクターは1名だけなので、外来診療と院内のコンサルトを行っている(と聞いている)。紹介状もないので、結局受診はできなかった。

 自分でも精神的なものとある程度自覚はしていた。夫もそう思っている。認知症ではないようだ。焦燥感が強いタイプ(春日先生のおろおろ型)のうつ病なのだろうか。CareNeTVの講義ではSSRIは気持ちをあおってしまうので、むしろ四環系の鎮静作用のある抗うつ薬がいいということだった。

 当地だと受診しやすい精神科クリニックはなく、精神科病院になってしまうので、受診を嫌がる患者さんが多い。この患者さんは勧められれば受診する気はある。念のため甲状腺機能を含めて血液検査をしてみたが、異常はなかった。精神科へ紹介することにした。

 紹介先の精神科病院は紹介状はあっても。患者さん本人が病院に電話して、担当の看護師さんからいろいろ問診を受けてから受診が決まるというやり方だった。さっそく電話してもらうと、どうしても症状をうまく説明できないようだ。電話での応答自体に疲れてしまい、また電話しますと言ってしまう。電話を代わって、症状を伝えてぜひ専門の精神科医に診ていただきたいとお願いした。翌々日の予約の間に入れてもらえることになった。

  

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胸部X線は予想外

2018年07月13日 | Weblog

 クリニックの先生(市の医師会長)から紹介の電話が来た。80歳男性の両下肢筋力低下での紹介だが、酸素飽和度が84%と言われたので、肺炎でぐったりしているのだろうと見当を付けた。

 外来受診時は酸素飽和度88%(室内気)だった。発熱はないが、2週間前から咳・痰が出ているという。やはり肺炎だろうと判断された。画像検査や血液検査を提出してから、結果が出るまで病棟の回診をしていた。

 胸部X線・CTでは予想外に著明な胸水貯留があった。炎症反応は白血球16500、CRP23.8と上昇していた。心電図は正常洞調律で、心雑音や心拡大はない。腎機能障害や低蛋白血症があり、さらに甲状腺機能低下もあった。

 循環器科医に相談すると、肺炎・胸膜炎がメインで、腎機能障害・低蛋白血症なども加わって心不全症状も併発した状態だろうと言われた。BNPが100で上昇はしているが、著増ではない。下肢の浮腫はごく軽度にはある。

 胸水を採取して細菌検査・抗酸菌検査・癌の細胞診などを提出して、抗菌薬・利尿薬を開始かと思ったが、ちょっと自信がない。地域の基幹病院呼吸器内科にお願いすることにした。ベット事情が厳しいのでどうかと思いながら電話すると、案外すぐにとってくれた。

 急性期の治療をお願いします、と言ったのは、病状が安定した後は当院に転院になるから。年齢もあるが、しだいにADLが低下してきていて、家族は介護保険申請を考えていたところだった。

 今日は大学病院の担当者が医学部生6年時の病院実習に打ち合わせに来る。2週間以上の実習になるらしいので、複数の診療科で指導するようになる。

 

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頚椎偽痛風(Crowned dens syndrome)

2018年07月12日 | Weblog

 月曜日に整形外科医から内科に診察依頼が来た。83歳男性が4日前からの後頸部痛で受診して、炎症反応が上昇しているので内科でもみてほしいということだった。

 意識清明で首の動きに軽度に制限があった。一番ひどい時よりはいいそうだ。発熱はない。これはあれしかないと思って、頚椎CTで確認した。軸椎(C2)の歯突起周囲に石灰化があり、頚椎偽痛風でいいようだ。両側の膝関節も疼痛というほどではないが、違和感があるそうだ(普通に歩行できるのでX線はとらなかったが)。セレコックスを2週間分処方して経過をみてもらうことにした。

 CTで教科書的ないい画像が撮れている。

 

 今日の午前中は救急当番で、施設から肺炎・心不全の97歳女性が紹介されてきた。前回は循環器科での入院だった。症状悪化時はDNRの方針になっていて、今回もそれでいいですかと家族に確認した。けっこうな大声(奇声?)を上げるので、個室入院となった。

 甲状腺機能低下症があり、チラーヂンSの補充が行われていたはずだが、現在の施設の処方には入っていない。検査では甲状腺機能低下だった。NGチューブで注入したくないので、何とかそれだけでも内服してもらうことにした(抗菌薬と利尿薬は点滴静注)。

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