なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

コンサルトされてもわからない

2014年02月07日 | Weblog

 内科医院から紹介されて、蜂窩織炎疑いで80歳男性が先月当院外科に入院した。左下肢痛(大腿部)を訴えていたが、皮膚の発赤・腫脹・熱感はなく、蜂窩織炎には見えなかった。膝関節痛でもなかった。入院後は抗菌薬で経過をみていて、熱は下がった。

 ところが、白血球数が減少しはじめて、800になった(分画としては正常域)。血小板減少はなかったが、少しずつ貧血も進行していた。そこで内科にコンサルトされたが、よくわからなかった。発熱はなく、CRPは下がって来ていた。抗菌薬の副作用も疑われた。そのまま経過を見るわけにもいかない。総合病院の血液内科医に相談することを勧めた。血球貪食はどうかと聞いてもらったが、LDHの上昇がないので、違うと言われた(ASTも正常域で確かに血球破壊はないのだろう)。G-CSFを使用して経過を見るように指示された。週末から3日か5日使用するものかと思っていたが、外科医はグランを1回だけ皮下注していた。週明けには白血球数が6000になっていた。この患者さんは数年前から白血球数は3000ちょっとで推移している。

 何だかわからないが、これで順調に経過すれば、退院に持っていけるかと思われた。その後に、肝機能障害が出現した(AST・ALTが100~150くらい)。胸腹部CTで肝胆道系に異常はなかった。もう抗菌薬は使っていないので薬剤性ではない。外科医は全体の経過が何からのウイルス感染なのかと思っているようだ。コンサルトされてから、採血した分で検査を追加してみた。、血清フェリチンを2回検査して、最初は2000で、2回目は5000と上昇していた。IL2受容体抗体が5000と上昇していた。診察でもCTでもリンパ節腫脹はない。肝機能障害はピークを過ぎて?少し改善してきた。EBウイルスとサイトメガロウイルスは既感染で、IgG抗体が異常に増加しているわけではない。

 週明けに内科転科になるが、わからないことに変わりはない。血球貪食にしては、白血球減少は改善した。貧血はゆっくり進行しているようだ。血小板数はずっと正常域で、白血球分画には異常がない。悪性リンパ腫としてはリンパ節腫大がない。肝脾腫はない。血管内リンパ腫は診断できる気がしない。生検すべき皮疹はない。末梢血の異常が改善しているが、骨髄穿刺をすべきだろうか。

 入院する前、先月左大腿部が腫脹して、紹介してきた内科医院で数日点滴を受けたそうだ。老人会の旅行(一泊二日)に無理しても出かけたくらいで、痛みはなかったそうだ。かゆみがあったので、自分で市販のムヒを塗っていた。発赤・熱感があったのかと聞くと憶えていない。何故か、大腿部の腫脹は軽快した。これは本当に蜂窩織炎だったのかもしれない。そのあとに今回の左大腿部の痛みが出現して、左下腿になったり、右下肢になったりと移動した(らしい)。単神経炎かとも思われるが、腎機能障害はない。入院後抗菌薬を投与して数日で熱は下がった。その後の経過では、1日だけ発熱があったが、それ以外に発熱はない。ただし、いったん下がったCRPが上昇してきた。

 骨髄穿刺はしてみるとして、経過をみて軽快しない時は、診断はつかないがステロイド投与だろうか。診断がつかない状態で使うのも怖い。ウイルス性肝炎が悪化・遷延した時にステロイドを使うが、通常はAST・ALTが少なくとも500以上になった時しか使わない。月曜日の検査でトランスアミナーゼが100未満になればそのまま経過をみるしかないか。CRPも遅れて下がってくれば幸いだが、はたしてどうなるか。

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間質性肺炎ー交換条件

2014年02月06日 | Weblog

 73歳女性が肺炎で紹介されてきた。隣の市にある個人病院からだった。たしか、母親と息子夫婦の医師3名で診療していたと記憶している。内科の若い先生が診察して、間質性肺炎のようだと相談にきた。確かに両側肺野にびまん性に間質性陰影が広がっている。胸膜直下の陰影が目立つ。全体に柔らかい印象を受ける。これまで特に症状がなかったそうで、急性の変化らしい。先月末から咳・痰・発熱があって、いったん軽快?したそいうが、解熱剤などがちょっと効いただけかもしれない。3日前から咳・発熱が悪化したそうだ。呼吸数が35回/分と頻呼吸で、酸素飽和度は93~98%(室内気)と呼吸数で変動している。白血球数9800、CRP0.8、LDHが350だった。背側にVelcroラ音が聴取される。明らかなリウマチ膠原病の症状はなかった。

 紹介先の病院で、この地域の基幹病院呼吸器科に連絡したところ、満床で断られたそうだ。それでも、この地域で版質性肺炎の治療がきちんとできるのはそこしかない。電話してみると、明日なら受けられるというが、その代り今入院して病状が落ち着いた患者さんを引き取ってほしいという。これまでも「下請け」で引き受けているので、こちらに異存はない。交渉成立で明日患者さんを交換することになった。間質性肺炎の患者さんは、今日は当院に入院となった。

 内科外来の若い看護師さんが発熱・悪寒で調子が悪いと、ベテラン看護師さんに呼ばれた。子供が発熱で小児科を受診して、インフルエンザ迅速試験は陰性だったが、通っている保育園でインフルエンザが流行っているので、インフルエンザとしてタミフルを処方されて、よくなってきたところだという。現在第二子を妊娠中で(妊娠8週)、ずっとつわりで食事があまりとれていない。インフルエンザ迅速試験は陰性だったが、発症してすぐなので何とも言えない(たぶん罹っていても陰性になると思われるがと説明したが、検査を希望した)。どちらかというと、つわりで点滴を行うことになった。上の子のお迎えもあるので、病院では1本だけ点滴して、ロックして2本め点滴を持って行って自宅ですることになった。

 「かぜ診療マニュアル」や「レジデントノートかぜ診療パーフェクト」には、タミフル・リレンザは妊婦さんに使用可能と記載されていた。今日はカロナールのみ処方して、明日高熱になれば、もう一回インフルエンザ迅速試験を行って、陽性ならばタミフル処方を考慮することにした。血液検査も尿検査も行って、他の熱性疾患の判別をする必要もあるだろう。少し咳もしていて、咽頭痛・胸痛・腹痛・四肢痛・関節痛はない。

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感染性胃腸炎だった

2014年02月05日 | Weblog

 70歳男性が一昨日の夜に嘔吐が続いて救急外来を受診した。消化器科に逆流性食道炎などで通院している。頭部MRIを見ると、脳萎縮が、特に前頭葉で目立つ。脳室の拡張もあった。ラクナ梗塞も多発している。ふだんは、よくめまいを訴えるというが、確かに脳循環は悪そうだ。腹痛はなく、下痢はしていなかった。当直の外科医が感染性胃腸炎疑いとして内科入院にした。

 昨日も嘔吐は続いていて、吐物は茶色で血性になっていた。何度も嘔吐を繰り返して、食道炎からの出血と推定された。貧血はなかった。まだ、便が出ないので、胃腸炎かどうか確定できなかった。今日になって、当院の検査技師をしている娘さんが嘔吐・下痢で内科新患を受診した。患者さんも今日から水様便が出現した。感染性胃腸炎で間違いないようだ。ノロウイルス迅速試験が陽性で診断が確定した。

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高齢者のインフルエンザ

2014年02月03日 | Weblog

 83歳男性が歩けなくなり、しゃべり方も呂律が回らなくなって救急搬入された。なぜか、歩きにくくなったので、整骨院で治してもらおうと受診したそうだ。その整骨院で救急要請した。多発性脳梗塞(ラクナ梗塞)で神経内科からプラビックスが処方されている。確かに呂律が回らないしゃべり方だったが、普段の様子がわからないので判定しかねる。明らかな麻痺はなかった。

 発熱が37.8℃あり、感染症で熱が出たための症状と思われた。時節柄、インフルエンザの迅速試験をするとA型陽性だった。頭部CTは陳旧性脳梗塞を認めた。胸部X線で肺炎はなかった(気腫性変化は軽度にある)。炎症反応は陰性だった。点滴を開始していたので、ラピアクタを点滴静注した。奥さんに話をすると、認知症ですからと言われた。入院後の不穏が心配された。

 先週の木曜日にインフルエンザで入院した80歳台男性が夜間せん妄で早期に退院したばかりだった(熱は下がって食欲も出ていた)。尿中肺炎球菌抗原が陽性で、胸部X線・CTでは肺炎を併発した可能性があった。今日外来に来て元気そうだったが、炎症反応はまだ下がりが悪く、抗菌薬内服を処方して、再受診とした。

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違うカルテが出た

2014年02月02日 | Weblog

 昨夜は当直だった。48歳女性がめまいで受診した。お店の前で倒れてしまい、夫に連絡が行った。夫が当院に連れてきたというより、運び込んだというものだった。回転性めまいと嘔吐で動けないという。症状が落ち着いてから聞いたところでは、以前から同じようなめまいはあり、メニエールと言われているという。耳鳴りから始まって、回転性めまいも出現するそうで、メニエールでいいかどうかはわからないが、内耳性めまいは間違いなく、BPPVではない。めまいの前に頭痛もしたというので、頭部CTを行ったが、異常はなかった。

 点滴して経過を見ているうちに、症状が軽快して帰宅できそうということになった。そこで看護師が、出されていたカルテが別人のものと気づいた。この患者さんは最近結婚して姓が変わっていた。今の名前と同じ名前の別人のカルテが出された、その別人のカルテで検査・治療のオーダーが入力されてしまった。ふだんは別のクリニックに通院していて、薬手帳の名前が読み方は同じだが、別の漢字だった。それにしても、診察券を持っていない時は、名前と生年月日で確認するはずだが、どうしたことだろうか。あわてて、本来のこの患者さんのカルテを出して再入力となった。別人のカルテで入力された情報は、後日サーバー室のSEが消去するしかない。受診時間も実際の時間とは違う時間で入力されてしまった。同じ日だからまだいいが、日を跨いだら、どうなったことか。

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