なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

完全房室ブロック

2024年05月02日 | 循環器疾患

 4月30日(火)の午前中は救急当番・発熱外来をしていた。救急隊から、相談がありますと連絡がきた。

 患者さんは施設に入所している95歳女性で、両下肢の浮腫が悪化した。施設で通院しているクリニックに連絡すると、病院(当院)に行くようにといわれたそうだ。(当院の循環器科勤務から開業された先生のクリニック)

 心拍数30回/分の徐脈があり、それは以前からで、どうも心臓ペースメーカー植え込み術はしない方針になっているらしいという。

 救急隊としては徐脈・心不全だと、循環器科のない当院に搬送しても、対応できないのはわかっている。しかし心臓ペースメーカーを行なわないことになっていると、循環器科のある病院にも依頼しにくい。どうしましょうかという。当院は初診になるので検査を行って、家族と相談することにした。

 

 来てみると、確かに心拍数は30/分で完全房室ブロックだった。心拍数以外のバイタルは問題なく、酸素飽和度も正常域(室内気)だった。両下肢(膝から足)に浮腫があるが、うっ滞性皮膚炎がありので経過が長いのかもしれない。

 心雑音はなく、弁膜症は否定的だった。胸部X線で心拡大はあるが、胸水・肺うっ血はなかった。

 患者さんは超高齢だが、会話したところでは認知症はない。単に徐脈だけの問題なので、超高齢だが心臓ペースメーカー植え込み術の適応がある?。

 

 息子さんと話をすると、心臓ペースメーカー植え込み術は本人も希望しないのでしないことにしていて、悪化しても仕方ないと理解しているという。

 クリニックの処方はARB少量(バルサルタン20mg)と利尿薬(アゾセミド30mg)だった。利尿薬のため尿酸値が10mg/dLと高値だった。

 患者さんは入院の希望もなく、息子さんもできれば施設に置きたいというので、利尿薬の追加で経過をみてもらうことにした。スピロノラクトン25mgを追加した(フェブキソスタットも追加)。

 バルサルタンをエンレストに変更するか、SGLT2阻害薬追加なども考慮されるが、どの順番での調整がいいのか。クリニックに診療情報低局書を出して調整してもらうことにした。

 今後当院に救急搬入の可能性があり、時間外だと外部の先生が日当直をしていてこともあり、心疾患増悪は断るかもしれない。電子カルテに経緯を記載した付箋を入れて、家族にはDN(A)Rの了解をいただいた。

 

 ところで、市内のクリニックからは「病院(当院)に行け」という指示が出る。クリニックに患者さんから電話での診療依頼がいった時や、救急隊から連絡が入った時に、よくこれが出る。(入院が必要な時は当然ではあるが)

 

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