6年前に書いた原稿だが、備忘録としてこちらに記載しておくことにした。当院の麻酔科医(当時)が医師会から原稿を頼まれたが、「以前にも書いてもうネタがないので、代わりに書いてくれ」と当方に依頼されたものだ。
「私が心電図を読めないわけ」
村川裕二先生は研修医必携の「循環器治療薬ファイル」の著者で、心電図の本を多数出されています。
そのうちの研修医向けの本と、「あなたが心電図を読めない本当の理由(わけ)」などの心電図や循環器診療をネタにした脱力系エッセイを購入してきました(専門的な本は買いません)。
当初「私が心電図を読めないわけ」という書名にしたかったのに、「それでは弱気すぎて誰も読んでくれません」という出版社の意見に押されて、「あなたが~」なりました、などと村川節で書かれています。
ぜひ村川先生を直接見てみたいと思い、村川先生を講演に読んでくれないものかと騒いでいました。巡りめぐって平成25年当地域循環器懇談会の講演に来られることになりました。
講演内容はすっかり忘れましたが、「循環器治療薬ファイル」にサインしてもらって、名刺をいただきました。
雑誌の連載を続けたいらしく、「メディカル朝日」の読者ハガキを出してほしい(当然村川先生のコーナーがためになる・面白いと書いて)と依頼されました。出さないでいるうちに、「メディカル朝日」は平成28年11月になくなりました。
aVRは十数年間無視してきた誘導ですが、aVRのST上昇は左冠動脈主幹部病変や3枝病変を表すことを知りました。他の誘導では広範なST低下を認めるようです。
以前受診した高齢女性(胸痛はなし)は心電図で広範なST低下を認め、これは一体何だろうかと思っていると、みるみる血圧が低下しました。循環器センターのある病院からドクターカーに来ていただき、救命してもらいました(深夜で大変申し訳なかったです)。
ずいぶん後になってあの心電図がそうだったのかと気づきました。今は研修医が普通に知っている変化だそうです。
胸痛で受診した高齢男性はⅡ・Ⅲ・aVFでST上昇があり、下壁梗塞の診断は容易でしたが、3回心室細動になって、1回+2回+2回の計5回除細動をして、洞調律に戻りました。(助かった患者さんの除細動自己最高記録)救急車に同乗してやっとの思いで地域の基幹病院に搬送すると、H先生(当時)が迎えてくれました。その後患者さんは元気に戻ってきました。
研修医の時から、循環器科は絶対に選ばない診療科目でした。急激に変化する心原性ショックや不整脈にとても対応できる気がしなかったからですが、本当に正解でした。
虚血性心疾患は学生でもわかるようなST上昇を呈することを希望します。
胸痛の患者さんが受診して、心電図の虚血性変化が微妙でよくわからない時は、ACS疑いで救急搬送しています。大騒ぎして送ったものの。結果は正常冠動脈で、ハズレの紹介に終わることもあります。心電図判読よりも疑わしい症状で判断しているので、その点はご容赦下さい。
完全左脚ブロックの虚血性変化やwide QRS tachycardiaはできるだけ(絶対に?)当たりたくないものです。
心電図がもう少しわかるようになりたいという気持ちで、数年おきに心電図の本を購入しています。基本的に研修医向けの本で、看護師さん向けの本もあります。
最近は救急医増井伸高先生の「心電図ハンター」が気に入っています。非専門医から循環器科医への橋渡しの仕方を書いています。プライマリケア学会で増井先生のワークショップに出ましたが、とても愉快な先生でした。
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