なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

ネコに引っ掻かれて~Pasteurella multocida

2023年07月15日 | Weblog

 7月7日に左下腿蜂窩織炎で81歳女性が地元の診療所から外科外来に紹介された。前日に隣家のネコにひっかかれたそうだ。左下腿遠位から足関節周囲に発赤・腫脹があり、刺し傷を外科外来で小切開すると膿汁が少量排出された。

 切開部膿汁の培養と血液培養2セットが提出されて、現在外科常勤医がいないので、皮膚科で入院となった。体温は37.1℃で、白血球1300・CRP11と炎症反応が上昇している。

 通常は蜂窩織炎に対してセファメジンだが、ネコ刺傷(咬傷ではないそうだ)ということで、スルバシリン(ABPC/SBT)で開始された。

 7月10日月曜日の早朝から口唇が浮腫状に腫脹してきた。血管浮腫の所見だった。それ以外には特に発疹は認めなかった。ペニシリンの薬疹は時々見かけるが、こういう表現型はあるのだろうか。咳・痰や呼吸困難などの呼吸器症状はなく、バイタルは問題なかった。

 高血圧症でエナラプリル(レニベース)とアムロジピンを内服していた。以前からの長年の内服だが、ACE阻害薬の血管浮腫は有名だ。

 抗菌薬(スルバシリン)の副作用か、ACE阻害薬の副作用かということになる。とりあえず、降圧薬はエラナラプリルは中止して、抗菌薬は他の種類に変更することになった。

 12日病室に見に行くと、口唇浮腫はほぼ治癒していた。元々ADL自立の元気な方だった。

  

 13日に創部の培養結果で、パスツレラ・ムルトシダPasteurella multocidaが検出されていた。血液培養の結果は出ていないが、菌は生えてきていないのだろう。

 

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