先週の金曜日に外科外来から連絡がきた。その日来ている外科医(大学病院からバイト)が相談したいという。患者さんは51歳男性で、病変部が複数あった。
その1週間前に、4日前から陰嚢の背側(会陰部)の疼痛と腫脹で受診していた。その時診察したのは別の外科医だった。その部位に3cmの発赤を伴う皮下硬結と記載している。圧迫しても排膿はなかったようだ。皮膚感染症として、抗菌薬内服で1週間後の受診となった。
再受診時は、2日前からあるという左側胸部の疼痛・腫脹も訴えた。15cm程度の膨隆があるが、表面から見ては発赤はない。会陰部は7~8cmの硬結があり、中止部は5mmほどの穴が開いている。膿瘍の排出はない。
会陰部の皮膚軟部組織感染症ではある。部位的には壊死性筋膜炎であるフルニエ壊疽が有名だが、そこまでのものではない。(なりかけたが幸い軽快したか)
胸腹部CT(単純)が施行されていて、両側肺野に結節性の病変が散在している。中心部は抜けていて、辺縁はかなりくっきりしている。感染症とすれば、敗血症性肺塞栓症になる。
そして左側胸部の病変は皮下ではなく、筋肉内にある。これだと表面からみては色調の変化はない。胸膜に波及しているように見える。
患者さんに訊いても、発熱や悪寒戦慄はないそうだ。白血球16800・CRP10.1と炎症反応は上昇している。行うとすれば、血液培養を提出して、入院しての抗菌薬点滴静注だが、当院で診るのは自信がない。
地域の基幹病院に紹介した方がいいのではと伝えた。問い合わせる診療科をどうするかになる。外科医は先方の外科に知り合いがいるという。
後で訊いたところ、診てもらえることになったが、外科ではないだろうということで皮膚科扱いになったそうだ。皮膚科医は複数いて、手術的な処置も行っているが、皮膚科でいいのか。呼吸器内科も呼吸器外科もいるので、複数科で対応はしてもらえるのだろう。
会陰部の皮膚軟部組織感染症から敗血症性肺塞栓症をきたした?。左側胸部病変との関係がわからない。