なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

上腕骨脱臼骨折

2023年07月12日 | Weblog

 火曜日の午前中は救急当番だった(午後1時で午後の当番と交代)。午後0時に救急隊から搬入要請がきた。

 患者さんは、自宅で倒れているのを発見された94歳女性だった。一人暮らしをしているので、ADL自立なのだろう。週1回のデイサービスの日で、施設で迎えに寄った。

 鍵がかかっていて、返事もなかった。家族(娘)に連絡して、さらに警察にも連絡して来てもらったが、鍵は開かない。今回は窓を壊してではなく、鍵屋さんに来てもらって鍵を開けたそうだ。

 倒れているのを発見したが、救急隊の話では「体中を痛がっています」ということだった。左右の足を少し動かしてもらったが、よくわからない。腰痛の有無も判断しがたかった。これは来てみないとわからない。

 自宅は地域の基幹病院の近くで、救急隊が搬入依頼をしたが、「ことわられました」という。他の救急で多忙だったのか、骨折がはっきりしない状態なので、介護の問題になってしまうことを気にしたのかもしれない。

 当院に来てもらって、骨折があれば改めて搬入を依頼することにした。

 

 2日前に扇風機のコードに引っかかって転倒したそうだ。日にちの感覚があいまいになっていたが、2日前らしい。左大腿の転子部に急性の褥瘡ができていた。汗と尿まみれなので、看護師さんがすばやく病衣に着替えさせた。

 右肩から右前腕まで腫脹して、皮下出血を認めた。右肩が痛いようだ。両下肢の痛みははっきりしなかった。高齢者だと一方の上肢が使えないだけでも起き上がれなかったのだろう。

 おそらく脱水症に陥っているので、点滴を開始して、血液検査を提出した。X線検査では右上腕骨の頸部に骨折があり、脱臼もしていた。これは急を要するようだ。

 転倒した時のことを覚えているが、他の疾患が原因になった可能性もあるので、頭部CT・胸腹部CT(大腿骨まで入れて)も行ったが、大丈夫だった。(ただ左腎臓に腫瘍があり、腎細胞癌と思われる。)

 血液検査では、脱水症からくる腎前性腎不全と、2日間横臥したままだったことによる(上肢の骨折部からの出血の影響も)筋原性酵素の上昇を認めた。

 近くのクリニックに高血圧症・心房細動(DOAC内服)で通院していて、心拍数が160~170/分くらいだった。血圧も90台と低下している。脱水症の影響なので、薬剤使用はまずは補液で様子をみてからとした。(血圧は110台になり、心拍数も140くらいになってきた)

 整形外科医が基幹病院整形外科に連絡して、搬送となった。上腕骨骨折だと、回復期リハビリ病棟の適応はないが、リハビリとj苦双処置のために当院に戻ってくるかもしれない。(その時は一般病棟か地域包括ケア病棟で受ける)

 ひとり暮らしの超高齢者が自宅で倒れているのを発見されて、というのが続いている。家族が最後に訪問したのは前月だった。週1回のデイサービスのお迎えがもっと先で、1~2日そのままだったら危なかった。

 

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