なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

脳出血の変化

2022年02月17日 | Weblog

 昨年12月11日に発症した脳出血の89歳女性は、地域の基幹病院脳神経内科に入院した。12月21日に当院に転院してきた。

 意識レベルは3桁で、そのまま点滴で経過をみて看取り方針になったとなっていた。発症11日目の転院だが、転院依頼は発症1週間目には来ていた。

 転院後の12月24日に頭部CTを行った。出血量は少なくなっていたが、脳浮腫や対側への偏移は同じだった。

 病棟の看護師さんから、末梢点滴の継続が困難といわれた。皮下注で継続もあるが、家族と相談すると、できるなら栄養を入れることはしてほしいと希望された。先方ではそういう提案自体されていないようだ。

 中心静脈カテーテルを挿入して、高カロリー輸液にした。少しずつカロリーを上げて、いわゆる高カロリーの2号液(1000ml/日)に上げた。血糖の上昇もなく、低ナトリウムの補正をしただけで安定した。

 2022年1月20日にまた頭部CTを確認すると、出血と偏移は軽減していた。開眼して、小声でしゃべるようになった。会話は成り立たないが。

 家族で病院に来るのは東京にいる息子さんだった。当院に転院してきた時は、それから実家に行って、家の整理をすると言っていた。(亡くなった時の準備ということ。実際は途中で疲れてやる気がなくなったと言っていた。)

 2月10日に頭部CTを再検すると、偏移はほとんど取れていた。このまま持てば、出血巣の周囲が、全体がきれいに抜けるのだろう。

 

 当院に転院して、2か月になろうとしている。現在は一般病棟から地域包括ケア病棟に転棟している。そこも入院期限は60日間なので、そろそろ療養型病床のある病院への転院を考える時期になってきた。

 息子さんに話をすると、できるだけ当院に置いてもらいたいと言われた。治療が良いからではなく、東京から新幹線で来た時に、当院はタクシーで来るのが便利な場所にあるから、だった。療養型病床のある病院もそれほど違わないと思ったが、タクシー代は少し高くなる。

 患者さんの意識がもっと良くなって、息子さんと会話ができるくらいだといいいが(治療した甲斐もある)、そこまでは無理だろう。

 治療の意味を問われると困るが、成り行きでここまで経過したということだ。

 

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