先週地域の基幹病院循環器内科からリハビリ目的で転院してきた78歳女性は、同院皮膚科からの診療情報提供書も来ていた。
診断は「左上肢皮膚非結核性抗酸菌感染症」だった。左上肢に多発する膿胞・皮下結節で皮膚科に紹介になり、皮膚生検・培養検査が行われて、皮膚から非結核性抗酸菌が検出された、と記載されている。
RFP+LVFX+CAMで治療を開始したが、その後にmycobacterium chelonaeと推定されたそうだ。抗菌薬は、大学病院から感染症の指導に来ている先生の指示でMFLX+CAMに変更された。
治療は約6~12か月の内服が必要なので、入院中は継続して下さいとある。アベロックス(MFLX)もクラリスロマイシン(CAM)も院内にあるので問題はない。
治療で左上肢の病変は改善しているが、小結節の多発や皮膚の色調変化がまだらにある。現在は痛みやかゆみはないそうだ。
mycobacterium chelonaeといわれても、Runyon分類のⅣ群(迅速発育菌)で、皮膚軟部組織感染症を来すことが多い、ということくらいしかわからない。感染症の学会に行った時は、極力結核と非結核性抗酸菌症(NTM)のセッションを聴くことにはしていたが、MAC以外はそうそうお目にかからない。(一応NTMの本は持っている)
ステロイド依存性気管支喘息でプレドニン15mg/日なので、このような感染が起きてもおかしくはないのだろう。診療情報提供書になかったが、入院時のHbA1cが6.7%で軽度だがステロイド糖尿病にもなっている。
ニューキノロンとマクロライド長期投与になるので、この患者さんが肺炎を来した時に効く抗菌薬はあるのだろうか、と心配になる。