なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

肺野が真っ白

2021年10月19日 | Weblog

 金曜日に、前日からの発熱・体動困難で90歳男性が救急搬入された。

 新型コロナウイルスの検査を行った後に(陰性)、通常の検査を開始した。白血球13600・CRP18.4と炎症反応が上昇していた。胸部X線・CTで左肺に無気肺像と胸水貯留を認めた。肺炎と随伴性胸水あるいは胸膜炎として入院となった。

 前日からというが、胸水があるので、その前から発症していたはずだった。吸引しても喀痰は引けなかった。肺炎球菌とレジオネラの尿中抗原はいずれも陰性。菌が出ないと思われたが、血液培養2セットだけ採取した。

 入院後は絶食にして、抗菌薬と点滴(1000m/日)を開始した。土日も発熱が続いていた。月曜日の朝には解熱傾向にも見えた。血圧は安定して、酸素吸入は入院時の1L/分で継続していた(飽和度の低下はなく、増量は必要なかった)。

 月曜日に検査を入れていたが、検査室から炎症反応の上昇で連絡が来た。白血球は12100と変わらないが、CRP37.6と著明に上昇していた。

 入院日にはすでに発症して数日以上経過しているので、CRPはすでに上がりきっていると判断していたが違うようだ。胸部X線(ポータブル)で、左肺野はほとんど真っ白になっていた。胸水貯留が増大している。健側を圧排しているので、無気肺はあるだろうが、肺全体がつぶれたのではない。

 急性の膿胸なのだろうか。入院時には、家族に超高齢(認知症も)であり、治るかどうか厳しいとは伝えていた。このまま保存的に抗菌薬を変更したくらいでは治らないだろう。胸腔ドレーン挿入などの処置が必要かもしれない。

 地域の基幹病院呼吸器内科に連絡してみた。最近赴任したばかりの若い先生が出て、ベットを確認して受け入れてくれた。家族には、専門医と相談することをあらかじめ連絡していた。当院に来るよりも直接先方の病院に向かってもらうことにして、患者さんを救急搬送した。

 前夜は夜間不穏で騒いでいた患者さんで恐縮だが、年齢の割に肉体的には元気な高齢者なので、治療できる可能性があれば専門医に診てもらいたい。

 

コメント (1)
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